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ひだ胃腸内視鏡クリニック

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JSIBDだよ、全員集合!!

JSIBDだよ、全員集合!!

11月26日はクリニックの診療をお休みさせて頂き、第13回日本炎症性腸疾患学会(JSIBD)学術集会に、看護スタッフと一緒に参加してきました。

 

今学会の副題は「JSIBDだよ、全員集合!!」。

日本のIBD(潰瘍性大腸炎、クローン病)診療のスペシャリストや、IBDについて学びたい先生方が一堂に会する学会です。

ここ2年はコロナ禍のために、残念ながら多くの先生がオンラインでの参加となっていました。

今回こそ!・・・という期待を込めて、前職場で上司だった中村志郎先生(大阪医科薬科大学)が付けられたのがこの副題です。

残念ながらコロナは未だに収束せず、完全な現地開催とはなりませんでしたが、多くの先生が会場に集合されていました。

やはりface to faceの会はよいものですね。

 

わたしは、「本邦IBD診療の第3極 IBDプライベーツの現状とこれからの役割」をテーマに掲げたワークショップで発表させていただきました。

 

プライベーツとは個人が開業するクリニックのことです。

この数年、IBDの診療に精通した先生のクリニック開業が、全国的に一つのトレンドになっています。

ここ兵庫県でも、たった2年の間に、わたしのクリニック以外にIBDを看板に掲げるクリニックがなんと3つ!も新規開業しました。

かつては、専門病院だけで診るのが当たり前の希少疾患だったIBDですが、今やクリニックでも高度な専門医療を担う時代へと大きく変わりつつあります。

 

ワークショップでは、きめ細やかな診療、待ち時間の少なさ、土曜日の診療などプライベーツならではの利点や、対応できる限界はどこか?などが議論されました。

 

わたしは、院内で迅速に結果が分かるように開業時にこだわって機器を導入した「便中カルプロテクチン(FCP)」にフォーカスして発表してきました。

FCPの迅速検査は未だに多くの病院では実現できておらず、専門クリニックである当院ならではの大きなアドバンテージです。

便中カルプロテクチンについて詳しくはこちらのブログで

 

便中カルプロテクチン検査について、「患者さんがどのように感じているのか?」を調査した報告は、これまでにありません。

そこで、当院に通院中の46名の潰瘍性大腸炎(UC)患者さんにご協力いただき、アンケート調査を行いました。

また、こういった検査や治療に対する見解は、医師と患者で一致していない場合も少なくありません。

同じ質問をIBD専門医にも投げかけ、患者さんと医師の意見にギャップがあるかどうかについても調べました。

 

結果の一部をご紹介します。

事前に便を採る必要があるFCPは、患者さんにとって「手間がかかる」というイメージを持たれている医師が70.6%と多かったのに対し、当院のUC患者さんで実際にやってみて「手間がかかる」と回答されたのはたったの13%。

両者には、大きなギャップがあることが分かりました。

慣れてしまえばそれほど手間ではないというご意見を患者さんから頂けたことは、FCP検査をお願いする立場の医師にとって大いに励みになります。

患者さん・医師ともに、多くの方ができれば結果をすぐに知りたいと思っていることが分かります。

ほとんどの患者さんは、自分のUCの状態を把握するために、FCPが役に立っていると感じていただいているようです。

患者さんにとって、FCPの結果がよい時には安心に繋がり、逆に結果が悪い時には注意する意識が芽生えることが分かります。

腸の状態が、内視鏡の代わりに「客観的な数値」として分かるFCPは、患者さんご自身のセルフケアの向上にも繋がるのです。

 

また、発表できませんでしたが、アンケートで患者さんからいただいたご意見の中には、

「大腸カメラは負担が大きいので助かる」

「治療の効果を実感できる」

「簡便なキットで便利」

といったポジティブなものから、

「しっかり便が採れているか不安」

「便がタイミングよく出なくて困る」

といった改善すべき点のご指摘まで、さまざまなものがありました。

 

今回のアンケート調査を踏まえて、患者さんの負担が大きい内視鏡検査の代わりになるFCPは、もっともっとUCの診療に生かしていくべきだとあらためて感じました。

今後、FCP検査はクローン病の患者さんや過敏性腸症候群(IBS)とIBDの鑑別にも保険適応が拡大する予定ですので、さらに活用する場面が増えそうです。

 

西宮市田中町5-2西宮駅前メディカルビル3F

「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ

 

日本消化器内視鏡学会専門医 

日本消化器病学会専門医、評議員

日本消化管学会胃腸科専門医

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