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ひだ胃腸内視鏡クリニック

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痔のおはなし

痔のおはなし

  • 2022年2月6日

成人の2人に1人は「じぬし」だと言われています。

 

「地主」なら良いのですが、残念ながら「痔主」の方。

なんとなく恥ずかしいというイメージが先行する痔ですが、実に多くの方が密かに悩んでいる病気です。

 

かく言うわたしもりっぱな「痔主」。

便が硬い時には、お尻の痛みに「ぬぐおぉぉ・・・」と悶絶。

トイレットペーパーに血が付いていないか恐る恐る確認し、

「キレてない・・・」と安堵。(←長州力?)

「マイ リトル エン痔ェル」様のご機嫌に、日々戦々恐々としております。

 

では、なぜ多くの人が痔になるのでしょうか?

 

実は、犬や猫には痔はほとんどできません。

4本足で歩行する動物は、心臓とお尻の高さがほぼ同じです。

お尻を流れる血液がスムーズに心臓に戻るので、痔になりにくいのです。

 

ウチの猫たちも快便です。

いーよな。君らは。

 

対して二足歩行のヒトでは、お尻は心臓より下の位置にあります。

血液は重力に逆らって心臓まで戻らなければならず、お尻を含む下半身は血液の流れが滞りやすいのです。

また、肛門は静脈叢(じょうみゃくそう)と言う網の目状の毛細血管が集まっており、血液が滞ると腫れやすい場所です。

そこに、長時間の「立ちっぱなし」や「座りっぱなし」、「便秘や下痢」や「排便時のいきみ」などの肛門のうっ血や強い負荷になる原因が加わると、痔ができてきます。

「妊娠中に痔になった」という話もよく耳にしますが、これは赤ちゃんの成長とともに大きくなった子宮に圧迫されて、肛門がうっ血しやすくなるためです。

 

さて、一口に痔といっても、その症状はできる部位や程度によってさまざまです。

わたしのように「痛い」「血が出る」といった痔のイメージ通りの症状の人もいれば、痔があってもなんの症状もないという方も、実はたくさんおられます。

 

検診の便潜血検査に引っ掛かって大腸カメラを受けた結果、がんもポリープなく、

「痔があったのでこれが原因でしょうね。」

と説明すると、大抵は

「えっ!?わたし、痔があるんですか?」という反応が返ってきます。

 

痔には大きく分けると「いぼ痔」と「切れ痔」があります。

うっ血して血管がこぶ状に腫れた「いぼ痔」を医学用語では「痔核(じかく)」と呼び、肛門の内側にできたものを「内痔核」、外側にできたものを「外痔核」と言います。

「内痔核」は、軽いものではほとんど症状がありません。

肛門の内側の直腸の粘膜には痛みを感じる神経がありませんので、痛くもなんともないのです。

さらに、内側にあるため外から触っても、腫れていることに気づきません。

排便時に真っ赤な血が出ても痛みが無いという場合は、多くの原因がこの内痔核です。

 

出血だけでなく、「便が細くなる」というのも内痔核の典型的な症状のひとつです。

スイーツのデコレーションをする際の、ホイップクリームの絞り袋と絞り口をイメージしてみてください。

便が肛門を通る時に、腫れている痔が絞り口のようになって、出てくる便が細くなります。

便がスッキリ出ない感じがするので、よけいに「いきむ」ようになり、さらなる痔の悪化につながります。

 

内痔核は、腫れが大きくなると排便時にイボが肛門から飛び出すようになります(II度)。

そして、指で押し込まないと戻らなくなってきます(Ⅲ度)。

さらに悪化すると、排便に関係なく常にイボが飛び出すようになります(Ⅳ度)。

便器が真っ赤になるほどの出血も起こります。

 

一方で、肛門と直腸の境目に当たる歯状線より外側にできるいぼ痔である「外痔核」は、指でさわると腫れているのが分かります。

また、肛門の上皮には皮膚と同じ痛みを感じる神経が多く通っていますので、外痔核は痛みを伴います。

とくに、血豆ができる(血栓性外痔核)と激しく痛みます。

 

また、「切れ痔」も痛いです。

医学用語では「裂肛(れっこう)」と言いますが、いや、もう字の響きだけでも痛そうですよね。

便秘の硬い便が出た時や、何度も何度も下痢をした時に、肛門に文字通り「切れたり」「裂けたり」といった傷ができてしまうことがあります。

皮膚が切られたのと同じ傷ですので、当然小さな傷でも痛いし、出血もします。

わたしはこのタイプ。

小さな傷でも繰り返しできるうちに肛門が硬くなり、どんどん悪化してしまうこともあります。

痛いのがいやで便意をがまんすると更に便が硬くなってしまい、さらに切れ痔の原因になるという悪循環陥ることもあります。

 

次回は「大痔主(おおじぬし)」にならないようにするための、痔の治療についてお話しします。

 

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「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本消化器内視鏡学会専門医 

日本消化器病学会専門医、評議員

日本消化管学会胃腸科専門医

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