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ひだ胃腸内視鏡クリニック

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IBDは「腸だけの病気」ではありません ~関節や皮膚、目などに現れる「腸管外合併症」について~

IBDは「腸だけの病気」ではありません ~関節や皮膚、目などに現れる「腸管外合併症」について~

潰瘍性大腸炎とクローン病(IBD:炎症性腸疾患)は、腸に炎症が起こる病気として知られています。

しかし実際には、関節・皮膚・目・肝臓や胆管・血管など、腸以外の臓器にも症状が現れることがあります。

これを**腸管外合併症(Extraintestinal Manifestations:EIM)**と呼びます。

腸管外合併症は決して珍しいものではなく、IBD患者さんの約20~40%に腸以外の何らかの症状がみられると報告されています。

重要なのは、

 ・腸の炎症が強くなると一緒に悪化するもの

 ・腸が落ち着いていても起こるもの

の両方があるということです。

そのため、「お腹の調子は良いから大丈夫」と思っていても、気になる症状があれば早めに相談することが大切です。

関節の痛み

IBDで最も多い腸管外合併症が関節の症状です。

次のような症状がみられることがあります。

・手や膝、足首などの関節が痛い

・腫れて動かしにくい

・朝起きたときに関節がこわばる

・腰やお尻の痛みが3か月以上続く

 

膝や足首など主に下肢に生じる関節炎は、腸の炎症と一緒に悪化することがあります。

手の指の痛みやこわばりなど、上肢に左右対称に生じる関節炎は、腸の炎症とは関係なく起こります。慢性関節リウマチの症状と似ているため、鑑別を要します。

腰や背中の痛み(脊椎関節炎・強直性脊椎炎)は、頻度としてはまれ(0,1%)ですが、腸の状態とは関係なく進行することもあるため注意が必要です。

皮膚の症状

IBDでは皮膚にもさまざまな症状が現れることがあります。

代表的なのは次の2つです。

結節性紅斑

・すねに赤く盛り上がったしこりができる

・押すと痛い

・腸の炎症が強い時に出やすい

壊疽性膿皮症

まれですが注意が必要な病気です。

・強い痛みを伴う皮膚の潰瘍

・小さな傷から急速に悪化することがある

皮膚科と連携して治療を行います。

また、生物学的製剤(特に抗TNFα製剤)の治療中には、まれに乾癬のような皮疹や皮膚感染症が起こることもあります。

目の症状

目の症状は頻度は高くありませんが、放置すると視力に影響することがあります。

次のような症状があれば、早めに眼科を受診してください。

・白目が真っ赤になる

・強い目の痛み

・光がまぶしい

・涙が止まらない

・物がかすんで見える

特にぶどう膜炎は、腸の状態が落ち着いていても起こることがあります。

血栓(血のかたまり)

IBDでは健康な人より血栓ができやすいことが知られています。

特に炎症が強い時や入院中、手術後には注意が必要です。

症状としては、

・足の腫れや痛み

・急な息切れ

・胸の痛み

などがあります。

命に関わることもあるため、このような症状があれば早急に受診してください。

原発性硬化性胆管炎(PSC)

胆汁の通り道(胆管)に炎症が起こり、狭くなってしまう病気です。

初期には症状がないことも多く、

・肝機能異常

・黄疸

・かゆみ

などから見つかることがあります。

潰瘍性大腸炎との関連が深く、PSCを合併した患者さんでは大腸がんのリスクが高くなることが知られています。

そのため、定期的な内視鏡検査が特に重要になります。

 

では、なぜ腸以外にも症状が起こるのでしょうか?

まだ完全には解明されていませんが、現在では次のようなことが考えられています。

 

腸で活性化した免疫が全身へ広がる

IBDでは腸で活性化した免疫細胞が血液を通って全身を巡ります。

その結果、本来攻撃する必要のない関節や皮膚、目などにも炎症を起こしてしまうと考えられています。

 

炎症物質が全身を巡る

腸で作られる炎症物質(サイトカイン)が血液中に流れ、全身に影響を及ぼします。

そのため、生物学的製剤などの薬は、腸だけでなく関節や皮膚の症状にも効果を示すことがあります。

 

腸のバリア機能が低下する

腸の炎症によって腸の壁が弱くなると、細菌由来の物質が体内に入りやすくなります。

これが全身の炎症を引き起こす一因ではないかと考えられています。

 

気になる症状があれば、遠慮なくご相談ください

IBDは「お腹の病気」というイメージが強いかもしれませんが、全身にさまざまな症状が現れることがあります。

次のような症状があれば、腸とは関係ないと思わず、ぜひ診察時に教えてください。

・関節が痛い

・腰痛が続く

・目が赤い、痛い

・皮膚に痛みを伴う赤い発疹や潰瘍ができた

・足が急に腫れた

・息苦しさや胸の痛みがある

 

早めに気付き、必要に応じて整形外科・皮膚科・眼科・肝胆膵内科などと連携することで、多くの腸管外合併症は適切に治療することができます。

IBDは腸だけでなく全身を診ることが大切な病気です。当院でも患者さん一人ひとりの症状に合わせて、必要な診療科と連携しながら治療を行っています。気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。

「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ

 

日本消化器内視鏡学会専門医

日本消化器病学会専門医、評議員

日本消化管学会胃腸科専門医

日本炎症性腸疾患学会IBD専門医・指導医

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