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新型コロナワクチンに関する質問

新型コロナワクチンに関する質問

日本でもやっと、やっと新型コロナウイルスワクチンの接種が始まりました。

先進国の中では残念ながら「ビリ」と言って良いほど開始が遅れてしまいましたが、コロナ禍の収束に向けて一歩でも進んだことを素直に喜びたいと思います。

まずは医療従事者を対象にした先行接種ですが、2月17日からの3日間で5039回の摂取が行われ、幸いなことに今のところ大きな混乱の声は聞こえてきません。

・・・ですが、これから多くの方々にワクチンを安全に接種する体制の確保やワクチンの供給の問題など、円滑に接種を進めていくための課題は山積です。

これは、気が遠くなるほどとてつもなく大変な作業ですねぇ・・・

わたし自身の接種がいつになることやらまだ分かりませんが、接種したらどんな感じなのか、またブログで報告しますね。

 

さて、クリニックに通われている患者さまからコロナワクチンに関するさまざまなご質問をいただくようになりました。

 

Q1. ワクチンは摂取した方が良いのでしょうか?

これについては1月24日のブログ「ウィズコロナの厳しい現実 -ワクチンは打つべき?-」にわたしの考えを詳しく書いていますので、ご参照ください。

新型コロナウイルスの特徴とこれまでの状況の推移から、わたしは基本的に摂取するメリットの方がデメリットよりもはるかに大きいと考えていますが、他の薬剤と同様にワクチンも危険性が全くないというものではありません。

今のところ、ウイルスに感染したとしても発症や重症化を抑える効果が非常に高く、少なくとも短期の安全性については大きな問題がないワクチンだというデータが出ていますが、正しい情報を基に接種の意味について最後はご自身でしっかり判断していただきたいと思います。(米ファイザー製のワクチンの接種でコロナウイルスの感染そのものを防ぐ高い効果が認められたとする分析結果も英国から発表されました。2/23追記)

世界から遅れた分、すでに1億人以上が接種している他国の動向も見ながら判断できるのは、ある意味良い事です。日本人だけが特有の副反応が出やすい人種なんていうことは、極めて可能性が低い話ですから。

不安な方や確かな情報を得たいとう方は、「こびナビ」というサイトにワクチンに関する情報が動画で分かりやすく解説されていますので、ぜひご参照ください。

 

Q2. ワクチンを接種しても大丈夫でしょうか?

今のところ、ワクチンを接種してはダメ(禁忌)とされているのは次のような方々です。

① 初めての新型コロナウイルスワクチン接種で重いアレルギー反応が出た人。このような方は2回目を摂取しない方が良いでしょう。

② ワクチンに含まれる成分であるポリエチレングリコール(PEG)やポリソルベートにアレルギーのある人は禁忌です・・・と言われてもなんのこっちゃ?ですよね。

PEGは医薬品の添加物で、わたしたちがよく使う大腸カメラの前の前処置薬(モビプレップ®)や生物学的製剤、軟膏や坐剤、錠剤のコーティングなどに使われています。これらのお薬で強いアレルギー(アナフィラキシー)が出たことがある方は、ワクチンは摂取しない方が良いでしょう。

また、ポリソルベートはさまざまな食品(アイスクリーム、ヨーグルト、チョコレート、ガム、パン、ドレッシングなど)や化粧品に使われている乳化剤という種類の添加物です。これらを食べたり使ったりした時に強いアレルギーが起こったことがある方は、ワクチンは避けるべきです。

逆に言うと、これまでに薬や食品でアナフィラキシーのような強いアレルギー症状を経験したことがない方は、どんな病気をお持ちでも、どんな薬を使っていても、ワクチンを接種することに特に問題はありません。

花粉症やアトピー性皮膚炎、喘息などのアレルギー疾患をお持ちの方でも、ワクチンの接種後しばらく注意して経過を診る必要がありますが、接種は可能です。

 

Q3. 基礎疾患のある方とは?

新型コロナウイルスワクチンの接種の順番は、まず医療従事者、次いで65歳以上の高齢者、基礎疾患を有する方、高齢者施設等の従事者、一般の方の順とされています。

では、「基礎疾患」ってどこまでの病気が含まれるのでしょうか?

 

今のところ、厚生労働省から公表されている基礎疾患の範囲は以下の通りです。

(1)以下の病気や状態の方で、通院/入院している方

1.慢性の呼吸器の病気

2.慢性の心臓病(高血圧を含む。)

3.慢性の腎臓病

4.慢性の肝臓病(肝硬変等)

5.インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病

6.血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く。)

7.免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む。)

8.ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている

9.免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患

10.神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等)

11.染色体異常

12.重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害が重複した状態)

13.睡眠時無呼吸症候群

(2) 基準(BMI 30以上)を満たす肥満の方

 

つまり、クリニックで診療している炎症性腸疾患、逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群、便秘症などの消化器の病気の方々は、基本的には「基礎疾患には当てはまらない」ということになり、接種の順番は最後の「一般の方」枠になります。

ただし、「免疫の機能を低下させる治療を受けている」に、ステロイド製剤やイムラン、アザニンなどの免疫調節剤、レミケード、ヒュミラ、シンポニー、ステラーラなどの生物学的製剤、ゼルヤンツを投与中の炎症性腸疾患の方は含まれるものと判断されます。

つまり、治療の内容によって同じ病気の方でも対象になるか、ならないのかが分かれてしまうわけです。

ちょっと、ややこしいですね・・・。

しばらく先のことですが、基礎疾患のある人への接種は、「手挙げ方式」つまり自己申告制で受け付けるような話が出てきています。自分が該当するのかどうかよく分からないという場合は、お尋ねください。

 

Q4. クリニックでワクチンを接種できますか?

コロナの収束に向けて積極的にお手伝いしたいのはやまやまですが、今のところわたしたちのクリニックでは新型コロナウイルスワクチンの接種を行う予定はございません。

なぜなら、クリニックでワクチン接種を行うには、現時点ではさまざまなハードルがあるからです。

1.ワクチンを-70℃で保管する必要がある

2.5〜6人単位でワクチンの接種を予約しなければならない(もしも、急なキャンセルが出た場合、ワクチンを破棄しなければならない)

3.接種後15〜30分間滞在していただく場所を確保する必要がある

インフルエンザワクチンなどとは取り扱いが全く異なるワクチンですので、通常の診療や内視鏡検査の合間に接種を行うのは、かなり難しいと言わざるを得ません。

冷蔵庫で長期保管が可能なアストラゼネカのワクチンが供給されるようになれば、クリニックでも接種が可能になるかもしれません。

 

さて、これはクリニックに寄せられた質問ではなく余談ですが、医療従事者などからも

「海外のワクチンなんて信用ならんから打ちたくない!」

「国産ワクチンが出るのを待ちたい」

というご意見を、時々耳にします。

 

では、国産なら安全で信用できるのかと言うと、はたしてどうでしょうか?

国産の新型コロナウイルスワクチンの開発は、明らかに遅れてしまっています。現時点で臨床試験まで進んでいるのは、たった2つのグループのものだけです。

なぜ世界からこれだけ遅れをとったのか・・・それは、一言で言うと日本が感染症というものを甘く見ていたからではないでしょうか。

世界ではバイオテロやパンデミックに備えるために政府や軍が介入し、潤沢な開発資金を基に国家事業として入念なワクチンの研究・開発を積み重ねてきました。今回いち早く導入されたmRNAワクチンやウイルスベクターワクチンは迅速に実用化できる利点があり、緊急性が求められるバイオテロやパンデミックにうってつけのもので、まさにこれまでの研究の結晶と言えます。

一方で日本は、オウム真理教による炭疽菌を用いたバイオテロ未遂事件の脅威にさらされた当事者だったにもかかわらず、危機感があまりにも無さ過ぎたと言わざるを得ません。

今回のコロナ騒動が始まってからあわてて個々の研究室や製薬会社がワクチン開発に挑んだものの世界からは大きく後れを取り、海外から導入されたワクチンの接種が始まった今となっては、プラセボ(偽薬)を含んだ国産ワクチンの臨床試験に参加したいワクチン未投与の人を確保するのもこの先どんどん難しくなって行くはずです。

はたして、十分な安全性や有効性の検証のもとに国産ワクチンが承認されるのは、いったいいつになることやら・・・?

 

さて、最後に。

緊急事態宣言の効果か、はたまた世界中でも減少傾向ですので、自然の流れなのかは定かではありませんが、新規の感染者数は確かに減少傾向にあります。

しかし、忘れてはならないのが昨年の第一波は4月に、第2波は7月にあったということ。

まだまだ油断は禁物です。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」にならないよう、今一度気を引き締めて感染を抑えながら粛々とワクチン接種を進め、ウイルスの犠牲者がお一人でも減るように心がけていきましょう。

 

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