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ウィズコロナの厳しい現実 ーワクチンは打つべき?ー

ウィズコロナの厳しい現実 ーワクチンは打つべき?ー

新型コロナウイルスによる国内の死者が累計5000人を超えました。

たった2週間のうちに1000人も増えており、緊急事態宣言下でもなかなか減らない厳しい状況が続いていますが、皆さんががんばって耐えているからこそ、まだこれだけの死者数で済んでいるとも言えます。世界では現時点で206万人の方が、新型コロナウイルス感染によって命を落とされました。

 

新型コロナウイルスについては専門家の間でも意見が分かれており、インフルエンザよりも死亡数が少ないとか、一般の肺炎の方がもっと死亡者が多いとか、つまりそれほど大騒ぎして恐れなくていいんじゃないかといった論調も未だに見受けられますが、はたして本当にそうでしょうか?

この冬インフルエンザは、コロナに対する感染予防対策、ワクチン接種、そして海外との人的交流が減ったことでほぼ消滅しました。ノロウイルス、手足口病、流行性角結膜炎といったウイルスによる感染症も、軒並み激減しています。ふつうのウイルスであれば、皆でしっかりと感染対策をすれば間違いなく減るのです。

 

ところが新型コロナは、他のウイルスとは明らかに違います。
日本という島国において海外との交流を極力減らし、個人個人が「普通の生活」をこれだけ犠牲にしながら感染予防策をがんばっていても抑えがきかない恐ろしい感染症だということが、改めて浮き彫りになってきました。

 

わたしは医療従事者ですが感染症の専門家ではありませんし、直接コロナの診療に携わっている訳でもありません。コロナの真の怖さは分かっていないと思います。それでも、コロナのすさまじい感染力と破壊力(特定の方に対する致死率の高さ)は並大抵のものではないと感じます。

 

実は、新型コロナウイルスの最初の感染が起こる1年以上も前の2018年5月に、感染症の研究で有名な米国のジョンズ・ホプキンス大学の科学者たちがこんな警告を発表していました。

 

「地球規模の壊滅をもたらすと予測される病原体」の特徴は、

・呼吸器系の感染症

・発症しないあるいは軽症の人が多い

・症状が現れる前の潜伏期間中にも伝染する

・致死率は低いが感染の拡大によって死者が増える

・RNA ウイルス(変異しやすいウイルス)

 

エボラのように発症率や致死率が高いウイルスはとても恐ろしいのですが、感染者を隔離できるのでそれほど広がりません。

一見ただの「かぜ」のように装い、特定の人にだけ強烈なダメージを与える、しかも感染力の高いウイルスこそがパンデミックを引き起こし、社会が壊滅するのだと警告していました。

 

いかがでしょうか?

昨年の3月頃、この予言めいた警告の存在を知って本当にゾッとしました。

これって、そのまんまコロナじゃないか・・・!

新型コロナウイルスは、科学者が数年前にもっとも危ないと警告していた病原体の特徴のすべてを併せ持つ最強・最悪のウイルスであり、それ故に、人類未体験のパンデミックを引き起こしているのです。

気付かぬうちに感染し、気付かぬうちに周りに広め、気付かぬうちに重症化し、静かに命が奪い取られていく・・・新型コロナは恐ろしい「静かな殺し屋」です。

 

日本人は欧米人に比べてコロナに感染しにくく、たとえ感染したとしても重症化しにくい。日本人は何らかの要因「Factor X」に守られているのではないか?

いままでのインフルエンザのパンデミックと同じように、なんとか時間稼ぎをしていれば自然に収まるのではないか?

だったら、感染の拡大防止と経済を両立させながら、「ウィズコロナ」で行こう!

Go To Eat! Go To Travel!

 

・・・今の状況をみると、そういった楽観的な甘い考えの全てが誤りであったのだと思い知らされます。

 

とくに、コロナ患者さんの診療に最前線で携わっている世界中の医療従事者の方々は、「ウィズコロナなんて絶対にあり得ない!」という思いを強くしておられるはずです。

新型コロナは、共存するなんて不可能な凶悪極まりないウイルスです。

「ウィズコロナ」という響きの良い言葉に惑わされ、「共存していけるんだ」と気持ちが緩んでしまった日本を含め欧米の多くの国々では、第2波、第3波にさらされて多くの犠牲者を出すだけでなく、さらに感染力や致死性を増した変異ウイルスまで生み出してしまいました。

このまま様子をみていれば1〜2年で自然に収束していく・・・なんていう幻想は、残念ながら起こりません。

 

では、いったいどうすれば良いのでしょうか?

 

1つの方法はウイルスを限りなく排除することです。

ウイルスは人の力を借りないと生きていけないので、人と人の接触を断てば消えてなくなります。

最初に患者が出た中国では、強固なロックダウンによってウイルス感染者の徹底隔離を行いました。今でも感染者数は非常に少ない状態を保っていますが、これはその後も徹底したウイルスの監視と排除を続けているからのようです。つい先日も北京でたった7人の感染者が確認されたことを受けて、160万人を対象にロックダウンを実施しています。

こういった政策で感染拡大を防いでいる国はいくつかありますが、世界中にウイルスが蔓延している限り、ほぼ鎖国状態で厳しい管理をずっと続けなくてはいけませんし、経済も相当なダメージを受けるでしょう。

しかし、これぐらい徹底しないと、コロナの感染拡大は防げないのです。

日本で同じことを実施するのは簡単ではありませんが、場当たり的で中途半端な「緊急事態宣言」ではこのままずっと収束しないのも事実です。

「ゼロコロナ」を目指して徹底的にウイルスを排除してから経済を回すという手順を踏まない限り、「自粛」と「緩和」をこの先いつまでも繰り返すだけになるのは目に見えています。

 

もう1つの方法は、大勢の人が抗体(ウイルスから体を守るために体内で作られる物質)を持つ、すなわち集団で免疫を獲得することです。

日本国内にこれだけの感染が広がってしまった現在、強固なロックダウンによるウイルスの完全な排除を行わずに収束させるためには、多くの人が感染して自ら抗体を持つか、ワクチンを接種して抗体を持つかのどちらかしかありません。

第一次世界大戦直後に流行した「スペイン風邪」、今のインフルエンザA型は、日本人の半数以上に感染し、多くの犠牲者を出しながら2〜3年で収束したと言われています。

しかし、これはあくまでインフルエンザの話です。感染力や重症化の仕方がまったく異なる新型コロナウイルスでは、感染が一気に広がると確実に医療が崩壊し、皆が抗体を獲得する前にさらに多数の死者が出ることは免れません。

第1波の時に独自路線でロックダウンを行わずに集団免疫の獲得によって第2波を免れようとしたスウェーデンは今、第2波にさらされて多くの死者を出してしまっています。

かと言って、このまま感染者数を極力抑えながら徐々に徐々に抗体を獲得して収束させるためには、いったいどれほどの年月がかかることでしょうか・・・。

アメリカの研究機関は、新型コロナが最終的に普通のかぜのようになって定着するまでに10年程度かかると試算しています。

10年!! ・・・こんな自粛生活を続けられるでしょうか?

 

要するにもはや、新型コロナの感染を早期に収束させるための道は、多くの国民がワクチンを積極的に接種して抗体を獲得することしか残されていないのだと思います。

 

新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンについては、昨年12月13日のブログでも書きました。確かに今までの常識では考えられないような短期間で開発された人類初のワクチンです。ただし、それは現在の科学技術だからこそ、これだけのスピード感で開発と量産にこぎつけられたのだとも言えます。

もしも、新型コロナの流行が10年前に起っていたとしたら・・・きっと発生から1年程度では何もできていないでしょう。

ありがたいことにワクチンによる短期の感染予防効果は非常に高そうですが、長期の安全性や有効性など分かっていないことがまだたくさんあるのも事実です。

副反応を強調した報道などをみて、安全性への懸念からワクチンを打ちたくないというご意見を持たれる方が少なからずおられるのもよく分かります。

最も懸念されるのは、アナフィラキシーと呼ばれる投与時の強いアレルギー反応でしょう。

アメリカで190万人に1回目の接種をしたところ21人にアナフィラキシー反応が起こったとのことですので、およそ10万人に1人、0.001%の確率で起こる可能性があります。高い安全性が求められるワクチンにおいて、これを確率が高いと考えるか、低いと考えるかは難しいところです。

他にも接種した部位の腫れや痛み、発熱、頭痛、倦怠感などの軽い副反応は多くみられるようですが、これらはワクチンに反応して体が抗体を作っている証でもあります。

確かに危険性はゼロではありませんが、これはコロナのワクチンに限らず全ての薬剤に共通して言えることです。投与が始まった時点で、5年後、10年後にどういった影響があるかが分かっている新薬なんてありません。

ただし、意を決して接種したワクチンによって体に抗体が作られたとしても、ウイルスが大きく変異してしまえば感染の予防効果が無くなってしまうのかもしれません。

 

・・・だとしても、今の状況を変えるにはやはり世界中でワクチンを接種するしかないでしょう。

社会の崩壊まで待ったなしの今、経済活動を何とか保ちながら感染を極力避ける方法は、現状ではワクチン以外にはありません。「気を付けていれば自分は感染しないからワクチンは要らない」というご意見も多いようですが、もはや自分が感染しないだけでは何も解決しません。

 

もちろん国を挙げてワクチンを接種したらそれで解決!というほど甘くはないんでしょうが、少なくとも現状の「ウィズコロナ」の考えの先には、明るい未来は見えてこないでしょう。

「仕事がしたい。遊びにも行きたい。罹るのは嫌だ。でもワクチンも怖いからしない。」では埒が明かないと思います。

 

わたしは、ワクチンの接種が始まったらすぐに受けようと考えています。

不安はゼロではありませんが、迷いはありません。
感染のリスクが高い医療従事者である自分の身をウイルスから守るためでもありますが、世界中の感染を収束させるための一歩にもつながると信じているからです。

ただし、ワクチンの接種は「義務」ではありません。

みなさんはそう遠くない未来に、ワクチンの接種するかどうかの選択を迫られるかと思います。

最近になってクリニックにも問い合わせが来るようになってきましたが、胃腸の病気を患っていたり、免疫を抑える治療をしている方であってもワクチンを接種することに問題はございません。
免疫を抑える治療をしているとせっかくワクチンを接種しても抗体ができない可能性があるのですが、先行しているアメリカの医師からは、免疫抑制治療を行っている炎症性腸疾患の患者さんにワクチンを接種したところ、ちゃんと抗体ができたとの声も聞こえてきています。

ぜひとも正しい情報を基に、ワクチン接種の意味についてご自身でしっかりと考えていただきたいと思います。

 

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「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ