うつくしい内視鏡検査
語弊を恐れずに言うと、わたしは内視鏡検査が大好きです。
患者さんが苦しい思いをする検査が大好きなんて、先生はドSなんじゃ??
・・・いいえ、違います。
どうすれば患者さんが苦しくないように検査ができるのかを、考え、工夫し、技術を磨くことが好きなのです。
私が医師になったころの内視鏡機器は、今と比べると太く、硬く、しなやかさがないものでした。しかも、今のように検査の時に鎮静剤を使うことが一般的ではなかったので、患者さんに辛い思いをさせないためには、ひたすら自分の技術を磨くしかありませんでした。
どうすれば、胃カメラの時にオエッとならないのか?
どうすれば、大腸カメラの時に痛みがなくなるのか?
良さそうな方法は色々試し、自分でも新たに発想し、工夫を凝らしているうちに、いつしか患者さんに「こんなに楽な検査は初めてです。」「検査は先生にやってほしい。」と言ってもらえるようになりました。それは、内視鏡医として最高の喜びです。
そして、さらなる目標として、無駄な動きがない「うつくしい」内視鏡検査を目指すようになりました。
外科手術もその本質はうつくしさにあると思っています。上手な外科の先生の手術は、時に大胆に、時に繊細に、水が流れるようなリズムで進み、見ていてとても心地が良く、うつくしいものです。麻酔さえすれば患者さんは楽で、技量は関係ないというものでは決してありません。手術後の患者さんのダメージは大きく違ってくるはずです。
内視鏡検査も同じだと思います。無駄のない流れるような動きで内視鏡を入れ、丁寧に観察し、ポリープを取る際にも最小限の傷で的確に・・・が、わたしの理想です。
それは自己満足ではなく、結果的に患者さんにとって、負担が少ないやさしい検査になります。鎮静剤を使っても、使わなくても、やることは同じです。
「うつくしい」内視鏡検査を極めるために、まだまだやれることはあるはず。これからも努力していきたいと思います。