World IBD Day
今週の金曜日、5月19日はWorld IBD Dayです。
World IBD Dayとは、世界50ヵ国以上の炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)の患者団体が主導して制定した、潰瘍性大腸炎やクローン病に対する理解を社会全体で深めてもらうための日で、日本では「IBDを理解する日」と呼ばれています。
毎年この日には、世界中の有名なランドマークがIBDのシンボルカラーである紫色にライトアップされます。
日本でも、姫路城や熊本城などのライトアップイベントが予定されているようです。
現在、世界中で500~1000万人の方がIBDを患っていると言われています。
ここ日本でも、IBDの患者さんは推計で30万人を超えており、もはや希少疾患とは呼べないほどに増えました。
IBDという病気が一般化する(=よく診る珍しくない病気になる)一方で、一般の方への病気の認知や理解が進んできているかと言うと・・・残念ながらそうとは言えないのではないでしょうか。
今回のWorld IBD Dayで掲げられているスローガンは、「IBD has no age」(IBDに年齢は関係ない)。
潰瘍性大腸炎やクローン病は、若い頃に発症することが多い病気です。
治療が年々進歩しているとはいえ、年齢に関わらず日常生活へ少なからず影響を及ぼします。
活動期に抱える辛いお腹の症状は言うに及ばず、たとえ病気が落ち着いていたとしても、食事や外出時のトイレ、周りの人にどう伝えるか?など、日ごろから困ったり、不安に思ったり、不便に感じたりしていることは多々あるはず。
先日、当院の「ひだまり会」にご参加いただいたことをきっかけに、同年代のIBD患者さん同士で仲良くなられた方が、
「今まで周りの人に病気のことを伝えていたけど、やっぱりどこかで気を使っていたり、無理に合わせたりしていたことに、患者同士で話せて初めて気が付いた。」
「本当に気を使わないで付き合えるって、こういうことだったんだ。」
といったお話をされていました。
身近に接しているご家族やご友人、わたしたちIBDに関わっている医療従事者でさえ、きっと患者さんの想いを本当に理解できてるわけではないと思います。
このWorld IBD Dayという機会に、日ごろ言えていない感謝だったり、困っていることだったり、お願いごとだったりを、まずは患者さんから周りの方へ思い切って伝えてみてください。
それが、IBDという難病が社会全体で正しく理解されるための大切な一歩にきっとなるはずです。
World IBD Dayに催される講演会や市民公開講座のリンクを張っておきます。
World IBD Day 2023 WEB講演会:2023年5月19日(金) 9時00分~20時30分
https://www.jsibd.jp/pdf/2023/World%20IBD%20Day%202023.pdf
WEB市民公開講座:2023年5月19日(金) 19時00分~20時00分
https://www.mt-pharma.co.jp/news/2023/info230425.html
WEB市民公開講座:2023年5月20日(土) 13時30分~15時30分
https://twitter.com/ccjapan1/status/1657163339280289792
「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医、評議員
日本消化管学会胃腸科専門医