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ひだ胃腸内視鏡クリニック

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IBD(潰瘍性大腸炎、クローン病)は原因不明の病気?

IBD(潰瘍性大腸炎、クローン病)は原因不明の病気?

さて、今日はわたしの専門である炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)のお話をします。

IBDとは、腸を中心とした消化管の粘膜に炎症がおきる病気のことです。一般的には、原因不明とされている潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis:UC)とクローン病(Crohn’s Disease:CD)の2つの病気をIBDと呼んでいます。

「原因不明…」「一生治療が必要な完治しない病気…」「難病…」と聞くと、IBDは何か特別な怖い病気のように思われるかもしれません。でも、風邪などの感染症のように原因がはっきりしていて、その原因を取り除くことで完治する病気は意外に少ないのです。

みなさんが良く知っている「高血圧」「糖尿病」といった生活習慣病も、実は「原因不明」の病気です。これらの病気の原因はさまざまで、生まれもった体質(遺伝)と食生活など環境の要因が組み合わさって発症します。

このように病気の原因が1つに断定できない場合を、多因子疾患と言います。そして、多因子疾患は、すべての原因を取り除くことが簡単ではないので、病気と上手に付き合いながら治療を長く続ける必要があるのです。

IBDも生活習慣病と同じで、遺伝の要因にさまざまな環境の要因が関係して発症する病気です。もし、単純に遺伝の病気だとすると、患者さんの数がどんどん増えていっていることに説明が付きません。増えているということは、もって生まれた遺伝よりも周りの環境の変化の方が強く影響していることを意味しています。

IBDを発症する環境の要因には、ストレス、清潔すぎる環境、食生活の変化とそれに伴う腸内細菌の異常、喫煙や禁煙などが挙げられます。

つまり、IBDは「原因不明」と言われていますが、「原因がまったく分かっていない」わけではないのです。どの要因がどう影響して発症に至るかについては、患者さんそれぞれで違います。

糖尿病、高血圧やアレルギー疾患など、昔にはなかった現代の生活習慣や環境が引きおこす病気を「現代病」と呼びます。IBDもまさに腸におきる「現代病」の1つで、決して特別な病気ではありません。

そして、大事なのはIBDという病気の原因や本質はどんどん分かってきており、それに基づく治療法も格段に進歩しているということです。

生活習慣病と同じように完治はしないものの、適切な治療や自己管理をしっかり続けることで、普通の人と変わらない生活を送れるようになる方は、これからも増えていきます。