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ひだ胃腸内視鏡クリニック

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IBD患者さんが新型コロナに罹ったら?

IBD患者さんが新型コロナに罹ったら?

新型コロナウィルス(COVID-19)のパンデミックにより世界中がパニックになりました。

日本は少しずつ落ち着きを取り戻しつつあり、本日やっとここ関西でも緊急事態宣言が解除されました。
しかし、まだまだ油断は出来ません。

世界ではこの24時間の増加数が10万人超と過去最多で、感染者は累計500万人を超えました。
すぐには、「ビフォー コロナ」の元通りの生活とはいきません。

炎症性腸疾患(IBD)の患者さんは基礎疾患があるうえに、感染症の危険性が高まると言われる免疫を抑える治療を受けておられる方も多く、「コロナに罹ったら重症化しやすいのでは?」とご心配の方がたくさんいらっしゃると思います。

2020年5月18日の時点ですが、SECURE-IBDというサイトの情報によると、新型コロナウイルスに感染してしまった潰瘍性大腸炎またはクローン病の患者さんは世界中で1170人報告されており、その特徴がかなり分かってきました。ほとんどがアメリカと欧州の患者さんで、日本のIBD患者さんで新型コロナウイルスに罹った人は、今のところお2人だけのようです。

こうした情報を基に、私見も交えて簡単にまとめます。
結論から言いますと、「過度に心配する必要はない」ということです。

① 潰瘍性大腸炎やクローン病の方が、重症化しやすいということはありません。

② 年齢が上がると重症化しやすい傾向は、一般の方と同じです。

③ 新型コロナ流行前と変わらず、必要な治療はそのまま継続するべきです。

④ ただし、ステロイドの全身投与はできれば避ける、あるいは減量することが望まれます。

⑤ 抗TNFα抗体製剤(レミケード、ヒュミラ、シンポニー)投与中の方は、むしろ重症化しにくく、軽症で済む方が多いようです。ただし、免疫調節薬を併用されている場合は、その傾向はみられません。

⑥ その他の生物学的製剤(エンタイビオ、ステラーラ)投与中の方が、重症化する傾向はみられません。

ということで、まずはご安心ただけるのではないかと思います。

とくに興味深いのは、重症化の懸念があった抗TNFα抗体製剤投与中の患者さんが、逆にコロナに罹っても軽く済んでいるという事実です。
新型コロナウイルスに感染すると、さまざまな炎症性サイトカイン(IL-1,IL-6,TNF-αなど)が多量に体中に放出されて重症化するため、TNFαを抑えることはむしろ良い方向に働く可能性があるのです。現在、抗TNFα抗体製剤は、一般の方が新型コロナに感染した際に使う薬として、有効性を確かめる治験が始まっているようです。

日本では収束の兆しが見えてきましたが、すぐに「アフター コロナ」とはならず、しばらくは「ウィズ コロナ」。コロナとうまく付き合っていく必要があります。

過度の心配は不要であることが分かってきましたが、もちろん罹らないに越したことはありません。
引き続き、手洗い、うがい、密の回避でしっかりと予防をお願いいたします。

海外のサイトですが、SECURE-IBDは新型コロナに罹ったIBD患者さんに関する最新の情報が得られ、一般の方も閲覧可能です。

https://covidibd.org/current-data/

日本炎症性腸疾患学会のホームページでは、日本のIBD診療に向けての提言や世界の最新情報のまとめを発信されています。

http://www.jsibd.jp/office.html