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ひだ胃腸内視鏡クリニック

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GERD(ガード)とNERD(ナード)と逆流性食道炎

GERD(ガード)とNERD(ナード)と逆流性食道炎

胃食道逆流症(GERDガード:gastroesophageal reflux disease)は胸やけなどの自覚症状と内視鏡検査によって分類されます。

内視鏡検査(胃カメラ)で検査した時に、食道の粘膜にただれ・炎症を認める場合は「逆流性食道炎(reflux esophagitis)」と診断されます。ただれの程度によって逆流性食道炎の重症度(グレード)が決まっており、グレードM、A、Bが軽症型、C、Dが重症型です。

Grade N:胸やけなどの逆流症状があっても内視鏡的に変化を認めないもの

Grade M:粘膜の色調が白く変化しているもの

Grade A:長径が5mmを越えない粘膜障害で粘膜ひだに限局されるもの

Grade B:少なくとも1ヵ所の粘膜障害が5mm以上あり、それぞれ別の粘膜ひだ上に存在する粘膜障害が互いに連続していないもの。

Grade C:少なくとも1ヵ所の粘膜障害が2条以上のひだに連続して広がっているが、全周性でないもの。

Grade D:全周性の粘膜障害

 

一方で、胸やけを感じているにもかかわらず、内視鏡でみても食道の粘膜に全くただれがない場合もあります。この場合は、重症度分類ではグレードN、「非びらん性胃食道逆流症(NERDナード:non-erosive reflux disease)」と診断されます。
これは見た目には炎症が無くても、胃酸の逆流や食道の知覚過敏などによって胸やけを「感じている」状態だと考えられています。

 

逆に、内視鏡検査で見ると食道が明らかにただれいている逆流性食道炎があるのに、胸やけなどの自覚症状がまったく無いという方もおられます。

見た目のただれ方と胸やけ症状は必ずしも一致しない・・・不思議ですね。

 

さて、日本人のGERD患者さんには、欧米のGERD患者さんと少し違った特徴があります。

 

まず、ほとんど(9割)の方が軽症型だと言うことです。

最も多いのがグレードN(NERD)で、GERDの半数を占めています。

要は胸やけがあって内視鏡検査をしても、半分の方には見た目には何も異常がないということです。

日本人のNERD患者さんは痩せている女性の方に多く、食道裂孔ヘルニアの合併が少ないという特徴があります。また、NERDには胃酸以外の腸液などの逆流によって胸やけを起こしている方もおられ、胃酸を抑える薬が効きにくいという特徴もあります。

なぜ、痩せ型の女性が胸やけを感じやすいのかについては、まだよく分かっていません。

残りの1割のグレードCやDという重症型に当てはまる日本人の患者さんは、「腰が曲がったおばあちゃん」に多いという特徴があります。

年齢と共に腰が曲がって前かがみの姿勢が続くと、常にお腹が圧迫された状態になり、胃食道逆流が起こりやすくなります。

また、高齢になると、胃や食道の動きが衰えたり、胃の内容物が食道に逆流しやすくなる食道裂孔ヘルニアを合併している方が多いかったりすることも、重症なGERDが起こりやすい要因になっています。

食道裂孔ヘルニアについては、また今度解説しますね。

 

一方、欧米で逆流性食道炎と言えば、肥っている男性に多い病気というイメージです。

ハンバーガー、フライドポテト、肉やバターソースたっぷりの料理といったこってりした食事を好み、そこに多量のアルコールや炭酸飲料をがぶ飲みし、だんだん内臓脂肪が付いてきてお腹が常に圧迫されると・・・はい、GERDの出来上がりです。

 

日本でもグレードA、Bといった軽症型は、この中年太り男性タイプに多いのです。

夜遅くに食べて、飲んで、そのままごろ寝・・・という最近お腹周りが気になりだしたそこのあなた!(あれっ・・・俺のことか?)

今後は日本でも、こうした欧米型のGERDが増えると予想されますので、お気を付けください。

 

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「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ