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IBD患者さんのワクチン接種①:インフルエンザワクチン

IBD患者さんのワクチン接種①:インフルエンザワクチン

先週あたりからぐっと寒くなりましたね。

寒暖差が激しいためか、今年は例年よりも早くインフルエンザが流行しており、すでに警報レベルとなっている県もでてきています。

 

まだまだこれからも感染者は増え、ピークは年明けの1月中頃ではないかと予想されています。

みなさまお気を付けくださいね。

 

さて、すでにインフルエンザワクチンの接種を済ました方も多いと思いますが、ワクチンの接種については炎症性腸疾患(IBD:潰瘍性大腸炎とクローン病)患者さんからご質問をいただく機会が度々ありますので、ここにまとめておきたいと思います。

 

  • IBDの患者さんはインフルエンザに罹ると重症化しやすいのか?

インフルエンザは、罹ると高熱や咽頭痛などのつらい症状が現れる病気ですが、重症化することはまれで、その致死率は0.1%以下です。

 

そして、IBDという病気自体は、インフルエンザに罹ったときに重症化に繋がる要因ではありません。

ただし、免疫を抑える治療(プレドニン、レクタブル、コレチメント、イムラン、アザニン、ロイケリン、レミケード、ヒュミラ、シンポニー、ステラーラ、オンボー、スキリージ、ゼルヤンツ、ジセレカ、リンヴォックなど)を受けておられるIBD患者さんにおいては、インフルエンザに罹患すると合併症を起こしたり、重症化したりするリスクがあるため、積極的なワクチンの接種が推奨されています。

 

  • IBDの患者さんはインフルエンザワクチンを接種しても問題はないのか?

日本感染症学会は、インフルエンザに罹患すると重症化しやすい方へのワクチン接種を推奨しています。

したがって、免疫を抑える治療を受けているIBD患者さんは、流行期に入る前(10月末ごろまで)にインフルエンザワクチンを接種しておくことが勧められます。

 

ちなみに、これはIBD患者さんに限らずですが、ワクチンによるインフルエンザの発症予防効果は接種した直後(2週後程度)が最も強く、その後は毎月8~9%ずつ効果が低下し(高齢者はさらに早く毎月約10%低下)、1年後にはほぼ予防効果がなくなります。

 

接種回数は、免疫抑制治療の有無にかかわらず、13歳以上が1回、12歳以下の小児が2回というのが原則です。

 

また、IBDの患者さんに対するインフルエンザワクチン接種は、基本的に任意接種になりますので、費用のご負担が発生します。

 

免疫を抑える治療をしている方に「生」ワクチン(病原体の感染力を弱めて作られたもの)を接種するとワクチンそのもので発症してしまう危険性がありますが、インフルエンザのワクチンは「不活化」ワクチン(病原体の感染力を失わせたもの、または病原体の一部の成分で作ったもの)ですので、接種することに関して全く問題はありません。

 

ただし、免疫を抑える治療を受けている間は、せっかくワクチンを接種しても身体の中で抗体が十分に作られない可能性があることを、頭に置いておく必要があります。

 

ワクチンを接種したうえで、手洗い、うがい、マスクなど、感染を避ける対策はしっかりと行いましょう。

 

  • TNFα抗体製剤などの治療を受けているIBD患者さんのインフルエンザワクチンは、どのタイミングで接種するべきなのか?

 

抗TNF-α抗体製剤(レミケード、ヒュミラ、シンポニー)による治療を受けている患者さんにおいては、ワクチンの接種で獲得する抗体がやや少ないという報告もありますが、多くの症例では十分な抗体価が得られています。

また、接種に対する安全性に問題はありません。

 

抗TNF-α抗体製剤の投薬日と不活化ワクチンの接種日をずらすべきというエビデンスはなく、治療薬の投与日と同じ日にワクチンを接種しても問題はございません。

 

抗TNF-α抗体製剤以外の免疫を抑える治療薬については、エビデンスがまだ十分とは言えませんが、同ように考えて問題はないものと思われます。

 

「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ

 

日本消化器内視鏡学会専門医

日本消化器病学会専門医、評議員

日本消化管学会胃腸科専門医

日本炎症性腸疾患学会IBD専門医・指導医

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