WEB予約

ひだ胃腸内視鏡クリニック

ご予約・お問い合わせ

0798-26-5070

胃腸内科 / 内視鏡内科

阪神西宮駅徒歩30秒

クローン病の新薬:スキリージ

クローン病の新薬:スキリージ

クローン病の新たな治療薬として、スキリージ(一般名:リサンキズマブ)が加わりました。

 

承認されたのは昨年9月のことですが、実際にクローン病の患者さんに投与できるようになったのは2023年1月からです。

このお薬は、クローン病の他にも乾癬という免疫の異常によって皮膚炎が起きる病気の治療薬としてすでに使われています。

 

では、どのようなお薬なのでしょうか?

 

スキリージは、炎症を引き起こすサイトカインであるインターロイキン(IL)-23の働きを選択的に抑える生物学的製剤です。

 

サイトカインとは、免疫を担当する細胞から産生されるタンパク質であり、「炎症を引き起こす」ものと「炎症を抑える」ものがあります。

IL-23は、主にマクロファージという免疫担当細胞から分泌される「炎症を引き起こす」タイプのサイトカインで、白血球の一種であるヘルパーT細胞(Th細胞)のうち、Th17細胞を活性化する作用があります。

 

Th17細胞とは本来、体が真菌(カビ)と戦うために必要な免疫を担う細胞ですが、活性化し過ぎるとIL-17などの炎症を引き起こすサイトカインが多量に分泌され、クローン病や潰瘍性大腸炎といった自己免疫疾患の発症に関わってきます。

 

クローン病においては、すでにステラーラ(ウステキヌマブ)というIL-12とIL-23の2つのサイトカインを抑える同系統のお薬が2017年から使われてきました。

 

IL-12も炎症に関わるサイトカインの1つですが、その主な役目は急性炎症が起きる時の言わば「引き金」に過ぎません。

一方でIL-23は、「慢性炎症の根源」とも言えるサイトカインであり、すでに腸炎が慢性化してしまっているクローン病の炎症を鎮めるためは、このIL-23をいかに抑えるかが重要になってきます。

 

そこで開発されたのがスキリージ。

IL-23だけに的を絞り、しっかり抑えることに特化されています。

 

まず、炎症を十分に抑えるために、4週間隔で600mgの点滴投与を計3回行います。

その4週後に皮下注射に移行し、8週間隔で皮下注射による維持治療を行います。

この皮下注射には1回2.4ml中に360mgのリサンキズマブが含まれています。

単純に比較できるわけではありませんが、同系統のステラーラの皮下注射が1回90mgであることを考えると、スキリージの量は4倍。

得られた効果が落ちないように、十分な投与量で維持を行うというコンセプトが見て取れます。

 

ただ、皮下注射で2.4mlというのは、実はかなり多い薬液量です。(ちなみにインフルエンザワクチンは0.5ml)

一気に注射すると、痛みが出る可能性があります。

そこで、ステラーラは「オートドーザー」という自動でゆっくりと皮下注射ができる特殊な機器を用いて、医療機関で投与することになっています。

さて、その有効性は・・・治験の成績を見る限りですが、かなり期待が持てそうです。

 

3回の点滴投与が終わった後の12週での有効性は、臨床的改善70%、臨床的寛解43.5%、内視鏡的改善40.3%と、プラセボに比較して何れも有意に高い確率で効いています。

 

IL-23に的を絞っている点と投与する量が違うため、同系統の薬剤であるステラーラの無効例にも効く可能性があります。

 

また、主な副作用として、上気道感染、頭痛、疲労(1~5%未満)などが報告されていますが、このお薬特有の問題点は今のところなさそうです。

 

ちなみに薬価は、

スキリージ点滴静注600mg:192,321円

スキリージ皮下注360mgオートドーザー:508,169円

・・・スキリージに限ったことではありませんが、やはり生物学液製剤はお高いですね。

 

当院では、現在2名の患者さんにスキリージの投与をすでに行っています。

どのようなタイプの患者さんに投与するのが最適なのかについては、今後検証する必要がありますが、また1つ戦うための新たな武器が増えたことで、クローン病患者さんのQOL(生活の質)の改善に繋がればよいなと思います。

 

「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ

 

日本消化器内視鏡学会専門医 

日本消化器病学会専門医、評議員

日本消化管学会胃腸科専門医

詳しいプロフィールはこちら