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ひだ胃腸内視鏡クリニック

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大腸ポリープや大腸がんはなぜできる?

大腸ポリープや大腸がんはなぜできる?

毎年大腸カメラを受けていただいている方に、ごくごく小さな大腸ポリープが見つかりました。

がんになる前のポリープを早期に見つけて取り除くことに大腸カメラを受ける意義がありますので、われわれ内視鏡医にとっては「早く見つかって良かったですね」という話なのですが・・・

 

患者さんにとっては、

「ショックです・・・どうしてポリープができたんでしょう?」

という話になります。

 

ではなぜ、大腸にポリープ(腺腫:せんしゅ=良性の腫瘍)やがんができてしまうのか?

 

オブラートに包まずに原因をズバリ一言で言いますと・・・・

 

 

老化」です。

 

 

・・・はい、患者さん、さらにショック倍増・・・

 

 

「老化」の一言で片づけては身もふたもありませんので、詳しく説明しましょう。

 

 

大腸に限らず、全身のあらゆる臓器にできるがんを含む腫瘍は、30歳代中ごろあたりからでき始め、歳をとるとともに発生が増えていきます。

 

腫瘍とは、簡単に言うと「遺伝子に傷がついてできる病気」です。

 

ヒトの体は約60兆個の細胞からできており、そのうちの1%(6千億個)の細胞が毎日死に、代わりに細胞分裂によって新しく生まれ変わります。

その際に細胞の設計図である遺伝子(DNA)が毎日数千億回もコピーされるのですが、人間ですので時々コピーをミスすることがあります。これが遺伝子の傷(突然変異)です。

 

健康なヒトの体の中でも、実はこの「遺伝子の傷」は毎日できています。

遺伝子に傷がついた「がんの芽」になる細胞は、1日になんと5,000個も生まれていると言われています。

えっ、5,000個もがん細胞が!と思われるかもしれませんが、なにせ毎日数千億回もコピーしているわけですから、それぐらいのミスが起こることはある意味想定内。

体の異常を監視している免疫細胞(リンパ球)が、遺伝子に傷がついたコピーミス細胞を見つけては消し去り、毎日密かに完全にリカバリーしてくれているのです。

 

・・・・・・・・・・若いうちは。

 

老いを感じる瞬間のひとつ、「傷がなかなか治らない」問題。

 

擦り傷や切り傷といった目に見える傷の修復だけでなく、歳とともに免疫細胞が衰えることによって目に見えない「遺伝子の傷」もだんだん治らなくなっていきます。

 

「ちょっとぐらいの汚れ物ならば〜 残さずに全部食べてやる Oh darlin〜♪」なんて歌もありますが、多少の無茶をしても傷ついた細胞をリンパ球が残さず食べてくれて5,000勝0敗で毎日乗り切れるのは若かりし頃だけ。

 

いつしか4,999勝1敗になる・・・すなわち遺伝子に傷がついた異常な細胞が消えずに残るようになると、生き残った異常な細胞が徐々に増えて塊を作っていきます。

これが良性の腫瘍です。大腸で言うと腺腫というポリープですね。

そしてこの遺伝子に傷がついた細胞というのは、時間が経っても死にません。

死なない細胞ですから、腺腫が自然に消えてなくなることはなく、時間が経った分だけ細胞の数は増える、つまりポリープは徐々に大きくなっていきます。

 

さらに年月が経つと、第2、第3の新たな傷が加わってきます。遺伝子の傷がどんどん積み重なっていくと・・・生まれるのががん細胞です。

がん細胞になると増殖のスピードが一気に増し、その場で広がるだけでなく、他の場所へ転移も起こします。

がんとは遺伝子の傷が蓄積した結果であり、長く生きていくうちにはある意味仕方のない「老化」現象なのです。

 

では、ポリープやがんができないようするにはどうしたらよいのか?

 

「老化」は残念ながらどうやったって避けて通れません。

 

大切なのは遺伝子に「傷がつく原因」を減らすことです。

 

大腸粘膜の遺伝子に傷がつく原因として挙げられるのは、赤身肉(牛肉・豚肉・羊肉)や加工肉(ハム・ベーコン・ソーセージ)の摂取、お酒、タバコ、肥満です。

赤身肉は、国際がん研究組織による分類で「おそらくヒトに対して発がん性がある」グループ2Aに分類されています。

さらに防腐剤などの添加物が加わる加工肉は、お酒、タバコと並んで「ヒトに対する発がん性が明らかに認められる」グループ1に分類されています。

食物を焼いたときにできる「焦げ」も遺伝子に傷を付けます。

焼肉にビール・・・いや〜、ひかえ目に言って「最高」ですよねぇ・・・

 

ですが、ヒトの体にとっては「最悪」のコンボなんです・・・

 

わたしの子供の頃は、焼肉屋さんなんてほとんどありませんでしたが、今やどこもかしこも焼肉屋さんだらけ。

子供のころから慣れ親しみ、さらに大人になってからは一緒にビールをグイッと!

 

・・・はい、大腸がん高リスク群のできあがりです。

 

生まれつき遺伝子に傷があり、若くして遺伝的に大腸がんになりやすいという方は、大腸がん全体のたった2%に過ぎません。

大腸ポリープやがんのできやすさを左右するのは、遺伝よりも生活習慣です。

 

30歳代、40歳代の比較的若い年齢からポリープができてきている人は、それだけ遺伝子に傷をつける体に過酷な生活を送ってきた証ではないかと思います。

若くてもさすがに毎日6,000個も7,000個もの遺伝子に傷がついていたら、治しきれなくなるのです。

 

大腸ポリープができていた方はこれまでの生活を見直し、食物繊維・魚の多い和食中心の食事にすること、お酒を控えること、肥っている方はダイエット、免疫力を上げるためにもストレスを溜めずに上手に発散し、しっかり運動することが推奨されます。

 

そして、どうやったって「老化」には抗えませんので、40歳以上の方は定期的に大腸カメラ受け、良性ポリープのうちに早期発見、処置することが同時に大切です。

 

ポリープを取った後も生活の見直しと、定期検査をお忘れなく。

 

西宮市田中町5-2西宮駅前メディカルビル3F

「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ

日本消化器内視鏡学会専門医

日本消化器病学会専門医、評議員

日本消化管学会胃腸科専門医

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