大切なのは「最初の1歩」

おかげさまで、内視鏡検査をご依頼いただく件数が順調に増えています。

初めての内視鏡検査をクリニックで受けていただくケースも徐々に増えてきました。

内視鏡と聞くとどうしても辛いイメージが先行し、みなさん躊躇されるのですが、この「最初の1歩」を勇気を出して踏み出していただくことがとにかく大切です。

なぜなら初回の検査で、その人が「将来、胃がんや大腸がんになりやすいかどうか」がほぼ予測できるからです。

初めて受けた胃カメラで、慢性胃炎がまったくない、つまりピロリ菌が感染していないきれいな胃であることが分かった方は、将来「胃がんになる心配」をされる必要がほとんどありません。なぜなら、胃がんの原因の99%がピロリ菌の感染による慢性胃炎だからです。

「ピロリ菌が居そうかどうか」は、内視鏡をパッとみただけでほぼ分かります。

逆に、初めての胃カメラでピロリ菌感染による慢性胃炎があると診断された方は、胃がんの危険性が高い方だと言えます。

もちろん、ピロリ菌が感染している方全員に胃がんが発生するというわけではありませんが、ピロリ菌が居るまま様子をみていると10年毎に約4%の方に胃がんが発生すると言われています。

まずは、ピロリ菌の除菌治療を受けること。そして、ピロリ菌が居なくなっても胃がんの発生がゼロになる訳ではありません（3分の1程度に下がると言われています）ので、1〜2年毎に胃カメラを受けていただくことをお勧めしています。

大腸カメラも同じです。

初めての大腸カメラを受けて、良性の腫瘍性（できもの）ポリープである腺腫（せんしゅ）が１つもないきれいな大腸だった方は、少なくとも5年以内に大腸がんが発生する危険性は極めて低いと言えます。

一方で、初回の大腸カメラで腺腫が見つかった方、それも1cm以上の大きな腺腫や、一度に3個以上の腺腫が見つかった方は、5年以内に大腸がんや大きな腺腫が発生する危険性が腺腫が1つもない方に比べて5〜6倍になります。

ですので、見つかった腺腫を切除したうえで、定期的に大腸カメラで経過をみる必要があります。

まずは「最初の１歩」を踏み出すこと。

そして、その結果から将来のがんの危険性を予測し、対策を立てることが肝心なのです。

内視鏡検査を受ける前に緊張と不安いっぱいだった方の多くが、検査の後「がんになる心配はほとんどありませんよ」と説明すると、ほっと安心して笑顔で帰っていかれます。

わたしたちのクリニックでは、医療コンシェルジュ、看護師、医師がワンチームとなって来院される患者さんの抱える緊張や不安を少しでもやわらげ、「最初の１歩」を踏み出すお手伝いをさせて頂きます。

今のところ、内視鏡検査を受けられた患者さまから大変ありがたい評価を頂いております。

これからも、気を引き締めて安心・安全な検査を心掛けたいと思います。

西宮市田中町5-2西宮駅前メディカルビル３F

「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長樋田信幸の公式ブログ