クリニックにおける働き方改革
- 2020年6月21日
- クリニック
昨年4月1日、新元号の「令和」が発表された日に「働き方改革関連法」の一部が施行されました。
勤務医だったこれまでとは違い、クリニックの院長は医療だけをやっていればよいというわけにはいきません。
患者さんが気持ちよく通院できるように配慮するだけでなく、ともに働くスタッフを守ること、そしてわたし自身の生活もしっかり考える経営者でなければいけないと思っています。
コロナ禍で改めて浮き彫りになったのが、人の命を預かるという使命感のもとに過酷な最前線でがんばる医療従事者が、心身共に疲弊していく姿です。
医療の現場は、ややもすれば働き過ぎによる「ワーク・ライフ・バランス」の崩壊に直結しやすい職場です。
クリニックを立ち上げるにあたって、経営者の本もいくつか読みました。
その中で興味深かったのが、京都で「佰食屋(ひゃくしょくや)」を経営されている中村朱美さんの本でした。
佰食屋は、毎日100人分の食材だけを仕入れ、100食限定でステーキ丼を提供するお店です。どんなに繁盛してお客さんが並んでいても、100食完売したら閉店です。
そうすることで、新鮮でおいしい料理を無駄なく提供できますし、社員たちは売り切って、就業時間通りに残業ゼロで帰れます。それが「ワーク」だけでなく、家庭や趣味などの「ライフ」も大切にする人への大きなモチベーションになるのです。
中村さんの夢はお金を儲けることではなく「この会社をできるだけ続けていくこと」とのことで、とにかく売り上げを上げろというこれまでの会社の「業績向上至上主義」とは全く違うコンセプトです。
長時間の過酷な労働で疲弊しないクリニックでの働き方を考えるうえで、大きなヒントになりました。
わたしのクリニックでは、夜診はしません。
週に2回だけ、夜にオンライン診療の時間を設けますが、これはスタッフが帰った後に、わたし一人でできます。
午前中は外来診療と点滴などの治療が中心ですが、完全予約制にします。もちろん急な症状で診察が必要な時は、ご連絡いただければしっかり対応します。
午後は基本的に内視鏡検査だけです。検査の質を落とさないように、決まった予約数だけにします。もちろん、急いで検査が必要な方のための枠を少し残して。
検査も後片付けも終わって、17:30にはスタッフ全員が残業ゼロで帰宅できる環境を整えたいと思います。
お休みは月曜日にして、日・月と連休です。
その代わり、働く方や学生の患者さんが来院しやすいように土曜日はフルオープンにしました。
夜診もせず、日・月連休のクリニックなんて、かなり珍しいのではないでしょうか?
はたして、もし混んできたとしても、そのスタンスを貫けるのか?
きっと、患者さんのニーズに答えたいという思いも湧いてくるでしょう。
クリニックの経営者からは「現実はそんなもんじゃないよ。甘いなぁ。」と言う声が聞こえてきそうですし、「いや、そもそも始める前から混むことを考えてるなんて・・・」と笑われそうですが、未来を思い描いてコンセプトを作りました。
患者さんに愛されるだけでなく、誰もが働きたいと思えるスタッフにも愛されるクリニックを目指して。
クリニックにおける新しい働き方改革も模索したいと思います。
西宮市田中町5-2西宮駅前メディカルビル3F
「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ