食べてケアするIBD~腸がよろこぶ食事とは~②
最近の目覚ましい治療の進歩によって、落ち着いた状態で日々の生活を送ることができているIBD患者さんは確実に増えてきています。
かつてほど、IBDという腸の難病に対して厳しく食事を制限することは、必要なくなってきているのかも知れません。
人が生きていく上で欠かせない「食事」。
では、「今」のIBD患者さんは、実際にどの程度食事に気を配っておられるのでしょうか?
そこで、第3回のひだまり会に先立ち、当院に通院中のIBD患者さんに「食に関するアンケート調査」を行わせていただきました。
ご回答いただいたのは、潰瘍性大腸炎88名、クローン病16名の計104名の患者さん。
年齢に分布は、20~40歳の方が4割弱、41~64歳の方が約5割でした。
ご協力いただき、誠にありがとうございました。
Q1. 病気を悪化させないために、普段から食べ物に気を付けていますか?
「とても気を付けている」または「やや気を付けている」と回答された方を合わせると、60.5%でした。
その一方で、「あまり気を付けていない」または「まったく気を付けていない」という「ノーガード戦法」の猛者?の方々も27.9%いらっしゃいました。
IBDという腸の難病を患いながら、内容を気にせずに食事ができているということは、治療がうまくいっている証だとも言えるのですが・・・
Q2. 病気を悪化させないために、控えている食べ物はありますか?
控えている食べ物のトップは「アルコール」で36.5%。
2番目は「香辛料」で31.7%でした。
「アルコール」や「香辛料」が本当にIBDや体にとって悪いものかどうかについては、後々のブログで解説したいと思います。
「ファストフード」「インスタント食品」「コンビニ弁当」「スナック菓子」といったいわゆるジャンク系の食べ物を控えているという患者さんは、全体のおよそ4分の1。
「揚げ物」は28.8%、「ラーメン」は24%ですが、同じく小麦+脂質が多い食べ物でも「パン」を控えている方はわずかで8.7%でした。
肉類では、ハムやベーコンなどの「加工肉」を控えている方が26.9%、「牛肉・豚肉」は10.6%。
脂質では「バター・マーガリン」「サラダ油・コーン油」を控えている方がそれぞれ18.3%。
「ジュース・炭酸飲料」は17.3%、人工甘味料は14.4%の方が摂取を控えているという結果でした。
Q3. 病気を悪化させないために、意識してよく食べている物はありますか?
この質問に対するお答えのトップは、残念ながら「特にない」で45.2%。
食物繊維に関する食品では、26%の方が「野菜」を、14.4%が「果物」を、5.8%が「海藻」を、3.8%が「玄米」を、2.9%が「オートミール」を意識して食べているとの回答でした。
みそ、納豆、漬物などの「発酵食品」は26.9%、乳製品は9.6%でした。
「オーガニック食品」4.8%、「あごま油、アマニ油、MCTオイル」6.7%など、食材や油にまで気を付けて、よく食べているという方は僅かでした。
さて、このアンケート調査の結果からわたしが一番に抱いた感想は・・・
みなさんがIBDという「病気だから避ける」という意識はある程度お持ちなのに対して、「健康を保つために食べる」という考えをお持ちの方が、想像していた以上に少ないということ。
先日のブログでも書いたように、IBDだからダメ・・・というより、これから先さらに新たな病気にかからないためにも、健康を意識して腸に良い食べ物を積極的に摂るという考え方に重きを置くことが大切なのではないでしょうか。
「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医、評議員
日本消化管学会胃腸科専門医
日本炎症性腸疾患学会IBD専門医・指導医