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ひだ胃腸内視鏡クリニック

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難治性潰瘍性大腸炎の新しい治療:スキリージ

難治性潰瘍性大腸炎の新しい治療:スキリージ

潰瘍性大腸炎患者さんの治療法は、日々進歩しています。

 

最近になり、潰瘍性大腸炎の患者さんの中でも難治と言われるステロイドによる治療が「効かない」または「止められない」方を中心に用いられる治療薬の選択肢が、また1つ増えました。

 

「スキリージ(一般名:リサンキズマブ)」は、IL(インターロイキン)-23という炎症性腸疾患(IBD)の「慢性炎症の根源」とも言えるサイトカインを抑えることによって、大腸の炎症を治すお薬です。

 

スキリージは、すでにクローン病の治療として用いられているお薬ですが、この度、潰瘍性大腸炎に対する有効性が認められ、2024年6月に使用が承認されました。

 

中等症以上の活動性を有する潰瘍性大腸炎の患者さんに対して、まず炎症を抑えるための治療(寛解導入)として1200mgを4週間隔で3回(初回、4週、8週)点滴投与します。

 

これは、クローン病の治療で用いられる用量(1回600mg)に比べると倍の量です。

活動期の潰瘍性大腸炎の炎症をしっかり押さえるためには、クローン病よりも多いお薬(生物学的製剤)の用量が必要とされています。

 

その後、炎症が落ち着いた状態をキープするための寛解維持治療としては、180mg(これは逆にクローン病の寛解維持治療の半分の用量)または360mgを8週間隔で皮下注射します。

 

この皮下注射は、オートドーザーと言う5分程度かけてゆっくりと投与する特殊な機器を用いて、医療機関(クリニック)で行います。(自ら自宅で投与する「自己注射」はできません)

 

このIL-23を抑える同じタイプのお薬としては、すでにオンボー(一般名:ミリキズマブ)というお薬が使われています。

ブログを参照:「潰瘍性大腸炎の新薬:オンボー」

 

オンボーは、2023年6月の承認から1年が経過し、寛解維持の際に使う4週間隔の皮下注射を自ら自宅で投与する「自己注射」という方法も選択できるようになりました。

もちろん、毎月来院してクリニックで投与しても構いません。

 

IL-23を抑える治療は、潰瘍性大腸炎の炎症を抑える効果が高く、かつ副作用が少ない安全性も兼ね備えた治療として、今注目されています。

(同じ系統のお薬が今後もさらに承認される予定です)

 

オンボー、スキリージだけでなく、炎症に関わるIL-12とIL-23の2つのサイトカインを同時に抑えるステラーラ(一般名:ウステキヌマブ)というお薬も、潰瘍性大腸炎によく効き、副作用も少ないお薬として、当院でも多くの患者さんに用いています。

 

IL-23を抑える3つのお薬のうち、「どれがよいのか?」「どう使い分けるべきか?」については、まだよく分かっていません。

寛解導入や寛解維持の方法の違い、

オンボー:寛解導入:4週間隔で3回点滴→維持:4週毎皮下注射(自宅でも可能)

スキリージ:寛解導入:4週間隔で3回点滴→維持:8週毎皮下注射(クリニックで投与)

ステラーラ:寛解導入:1回点滴→維持:8週後より12週または8週毎(クリニックで投与)

などから、患者さんと相談して選ぶことになります。

 

患者さんが治療を選ぶ際に、クリニックで用いている説明用紙を刷新しましたのでご参照ください。

「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ

 

日本消化器内視鏡学会専門医

日本消化器病学会専門医、評議員

日本消化管学会胃腸科専門医

日本炎症性腸疾患学会専門医・指導医

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