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ひだ胃腸内視鏡クリニック

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脂肪肝のお話:その②

脂肪肝のお話:その②

なぜ脂肪肝が悪いのか?

 

かつて、脂肪肝は大した病気ではないと思われていました。

ところが今は、肝硬変や肝臓がんにまで進展する、注意すべき疾患だという風に認識が改まっています。

 

そして、先週のブログで書いたように、脂肪肝は「酒飲み」の方だけの問題ではありません。

むしろ、今、問題になっているのは、お酒を全く飲まない、またはさほど飲まないのに起こる脂肪肝の方。

 

飲酒量がエタノール換算で1日男性:30g未満、女性:20g未満(エタノール20g=ビール500ml)の方におこる脂肪肝は、NAFLD(ナッフルディーまたはナッフルド:Non-alcoholic fatty liver disease=非アルコール性脂肪性肝疾患)と呼ばれています。

(正確には、少し前までそう呼ばれていました。)

 

お酒を飲まなくても、肥満や糖尿病、高脂血症といった生活習慣病をお持ちの方や、普段から糖質・脂質を過剰に摂取し続けている方は、NAFLDになる可能性があります。

 

そして、NAFLDを放っておいても多くの方は脂肪肝のままなのですが、1~2割の方は肝臓の炎症や線維化(組織が硬くなること)を伴うNASH(ナッシュ:Non-alcoholic steatohepatitis=非アルコール性脂肪肝炎)に進行するとされています。

NASHになると肝細胞が壊されて次第に機能しなくなり、肝硬変や肝がんなどに進行するリスクが上がります。

 

実は、このNAFLDやNASHという名称は、2023年に変更されています。

 

NAFLDの「A」を指す「Alcoholic」は「アルコール」だけでなく「飲んだくれ」、「F」を指す「Fatty」は「脂肪」だけでなく「太っちょ」の意味合いも持っています。

 

社会的な偏見を生む可能性のあるこれらの用語を避けるため、MAFLD(マッスルディーまたはマッスルド:metabolic dysfunction-associated fatty liver disease=代謝異常関連脂肪肝)という新たな名称が提唱されたのです。

 

マッスルと聞くと今度はなんだか「筋肉質」とか「強そう」な方をイメージしてしまいますが・・・はたしてこの改名は定着するのでしょうか?

 

そして、NASHの方は、MASH(マッシュ:Metabolic dysfunction associated steatotic liver disease=代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)と呼ばれるようになりました。

 

かつての肝硬変や肝がんの主因であったB型肝炎・C型肝炎ウイルスは減り、今はアルコールおよびMAFLDによる肝硬変や肝がんが増えてきています。

 

MAFLDを治すには、まずは肝臓に脂肪が沈着する原因である飲食を減らすことが重要です。

 

1つ目は、先週のブログに書いたように糖質を減らすこと。

とくに加糖飲料は要注意。

飲み物は、水やお茶、ブラックコーヒーなど、糖質を含まない飲料だけにしましょう。

 

2つ目は、間食を止めて「空腹」の時間を作ること。

肝臓に蓄積されたグリコーゲン(さらに過剰になると中性脂肪に変わる)は、空腹にならないとエネルギーにとして使われません。

糖質の制限にもなりますので、お菓子の間食を止めるのは一石二鳥です。

 

3つ目は、適度に運動すること。

運動不足もまた、MASLDの大きな危険因子です。

太っていない方でも、筋肉量が不足している人は内臓脂肪がたまりやすいのです。

脂肪の代謝を促進する定期的な運動で、体内の脂肪バランスを整えましょう。

 

「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ

 

日本消化器内視鏡学会専門医

日本消化器病学会専門医、評議員

日本消化管学会胃腸科専門医

日本炎症性腸疾患学会IBD専門医・指導医

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