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ひだ胃腸内視鏡クリニック

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脂肪肝のお話:その①

脂肪肝のお話:その①

脂肪肝・・・読んで字の如く肝臓に脂肪を「貯めこんだ」状態。

 

実際に脂肪肝は、肝臓の周りに脂肪がつくのではなく、肝細胞一つ一つの中に水滴のような形で脂肪が蓄積し、肝臓全体が肥大化します。

 

世界3大珍味として有名な「フォアグラ」は、ガチョウに無理やり食べ物を与え続けて、人工的に肝臓(Foie)に脂肪(Gras)を貯めこませた食材です。

普通の肝臓の色は赤褐色ですが、脂肪を貯めこんだフォアグラは黄白色。

人間の脂肪肝も、まさにこのフォアグラ状態。

 

ガチョウのように誰かに強制された訳でもないのに、自らの食べ過ぎや飲みすぎ、運動不足によってフォアグラを生成しているわけで、飽食の時代がもたらした産物とも言えます。

 

そして恐ろしいことに、脂肪肝は実はみなさんがイメージするような「大酒飲み」や「太っている人」、「脂っこいものが好きな人」に限った病気ではありません。

最近では、お酒をあまり飲まない人にも、太っていない人にも急増しているのです。

今や、日本人の成人のうち3人に1人がこの脂肪肝を抱えていると言われています。

 

確かにクリニックで腹部エコーの検査をしていると、飲酒する習慣もなく、それほど太ってもいない方なのに肝臓がまっ白(脂肪はエコーで白く見えます)・・・ということが、珍しくありません。

 

そして「脂肪肝ですよ」と告げると、「えっ、脂っこい食べ物なんてほとんど食べないのに・・・」という反応をされる方もおられます。

 

「脂肪」という響きから、肉の脂身や揚げ物、バターなど「油」そのものの摂りすぎが脂肪肝の主な原因のように思われがちですが、実はそうではありません。

 

食べた油分のうち、肝臓に蓄積されるのはほんの15%ぐらいだと言われています。

 

アブラじゃないのよ脂肪肝は、ハッハー♪(突然、明菜?)

 

では、肝臓に脂肪が貯まる「主犯」はいったい何なのか?

 

それは「糖質」です。

 

糖質は、体内でブドウ糖に変わって細胞に取り込まれます。

ブドウ糖は、さらに肝臓の代謝機能によってグリコーゲンに作り変えられ、エネルギー源として肝臓や筋肉などに蓄えられます。

ところが、肝臓が蓄えることができるグリコーゲンの量は、それほど多くありません。

グリコーゲンがキャパオーバーになると、今度は肝臓がグリコーゲンを「中性脂肪」に作り変えます。

 

そう・・・過剰な「糖」は体内で「脂肪」へと変わるのです。

これが蓄積したのが脂肪肝です。

 

とくに肝臓は、「精製された糖質」から多くの中性脂肪を合成します。

 

「精製された糖質」とは、穀物などから食物繊維やビタミン、ミネラルといった栄養素が取り除かれたもの。

別名「白い炭水化物」とも呼ばれ、白米、小麦粉、砂糖などがこれに当たります。

 

みなさんが毎日食べている、実に身近な食材ですよね。

 

「おいしいものは、脂肪と糖でできている。」

・・・という実にキャッチーなコピーのCMがありましたが、「脂肪」×「糖」という最凶タッグであるラーメン、チャーハン、カツ丼、コンビニの揚げ物弁当といった料理の食べ過ぎが、脂肪肝のリスクになることは言わずもがな。

 

さらに、単に「パンが大好き!」「ご飯が大好き!」「お菓子・スイーツが大好き!」という方も、日常的に糖質過剰の状態が考えられますので、脂肪肝の発症には要注意です。

 

そして、「飲み物」。

糖分たっぷりのジュース、スポーツ飲料などの常飲は、脂肪肝の元凶。

 

そして、意外な盲点が「健康を維持するために」とみなさんが毎日飲んでいる乳酸菌飲料、スムージー、野菜ジュース、エナジードリンクなどの飲料。

実はこれらにも、かなりの量の精製糖質が含まれています。

 

体に良いことをしているつもりが、せっせと肝臓に脂肪を貯めこんでいる・・・なんていう皮肉な結果になる可能性もありますので、お気を付けください。

 

「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ

 

日本消化器内視鏡学会専門医

日本消化器病学会専門医、評議員

日本消化管学会胃腸科専門医

日本炎症性腸疾患学会IBD専門医・指導医

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