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ひだ胃腸内視鏡クリニック

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胃腸内科 / 内視鏡内科

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痔はどうやったら治る?

痔はどうやったら治る?

「痔」=「手術」というイメージをお持ちも方もおられるかと思います。

 

わたしは肛門外科医ではありませんので、本当に手術や注射による治療が必要な場合には肛門科にご紹介させて頂きますが、そういった痔をお持ちの方は実はごく稀です。

 

大腸カメラをしたときにいぼ痔があると指摘されても、出血や痛みなど困るような症状がなければ、とくにあわてる必要はありません。

すぐにお薬を使わなくても、大丈夫です。

ですが、座薬や軟膏などのお薬を使えば痔が治るかと言うと・・・実はこれもそうとは言えません。

 

ええっ、痔は薬で治らないの!?・・・結構ショックな話ですよね。

 

切れ痔(裂肛)の場合は、言わば「肛門の傷」ですから、薬を塗れば一時的には治る可能性はあります。

ですが、いぼ痔(痔核)は「肛門がうっ血してできた静脈のこぶ」ですので、薬を使っても完全には消えてはなくならないのです。

 

多くの痔のお薬には、炎症を抑える成分と痛みを抑える麻酔の成分が入っています。

腫れたり傷ができたりして痛いときにはお薬は確かに有効で、症状は良くなります。

ただし、痔を根本から解決してくれているわけではありません。

 

また、痔の薬の中には炎症を抑えるためのステロイドが入っているものがあります。

局所治療ですので全身へ吸収されるステロイドの量はそれほど多くないとは言え、症状が落ち着いてからもダラダラと長期に使い続けるのは良くありません。

痛みや出血などの症状が辛い時に、和らぐまでの2週間程度の使用に留めておくことが推奨されます。

 

では、痔はどうやったら完治するのでしょうか?

 

痔を治す上で最も大切なことは、手術でも薬でもありません。

「生活習慣」と「排便習慣」を正すことです。

 

いぼ痔や切れ痔ができている方には、それなりの理由があります。

ここを改善しないと根本的な解決にはなりません。

 

しかし、「立ちっぱなし」も「座りっぱなし」もダメ・・・・って、いったいどうすんねん?

と思われるかもしれません。

 

痔にならない猫先生に聞いてみましょう。

 

四つん這いで暮らすにゃ。

・・・いや、無理です。

 

一日中寝とくにゃ。

 

・・・いや、無理です。

 

あなた方に聞いたのが間違いでした。

 

冗談はさておき、立ちっぱなしや座りっぱなしのお仕事をされている方は、長時間まったく同じ姿勢が続かないように、定期的に違う姿勢をとったり休憩したりするようにしましょう。

そして、休憩中に軽く体を動かして、下半身に溜まった血を全身に巡らせることも大切です。

 

さらに重要なのが、痔の人は「便の排泄がちゃんとできていない」ということです。

 

これは、便が何日も出ないような分かりやすい「便秘」の人だけを言っているのではありません。

 

痔の方は、毎日便が出ていたとしても、

・便が出るまでに長い時間かかる

・いきまないとなかなか出ない

・排便後もすっきりした感じがしない

・1回で出きらず、続けて何度かトイレに行く

・お尻を何度も拭かないときれいにならない

・ウオシュレットで洗わないときれいにならない

・ウオシュレットで洗うと刺激でさらに便が出てくる

といった方が多いと思います。

 

これらは、いずれも便が直腸から出ていきにくい、または排便後も直腸にまだ便が残っているために起こっている症状で、「直腸性便秘」と言います。

 

つまり、毎日便が出ていても、1日に何度も出ていても、むしろりっぱな「便秘」なのです。

そして、それが原因で痔ができてしまっているのです。

こういった方には、便秘だという認識がまったく無いので通称「かくれ便秘」とも呼ばれています。

 

一日に何度も便が出ることは、決して「快便」ではありません。

ただ単に便が出るというだけでなく、トイレに座ったら1分以内にスルッ出るという「スピード感」と、1回で便が残った感じが無い「すっきり感」が大切です。

 

そして、痔を治すにはこの「排便習慣」の改善が欠かせません。

 

いきまなくても適度な硬さの便が出るように、普段から食生活に注意しましょう。

第一に、食物繊維や水分をしっかり摂ること。

とくに水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランスよく含まれる「納豆」はお勧めです。

また、以前にブログで書いた小麦や乳製品の摂取は、便通の良くない方はできるだけ控えることを推奨します。

無意識を意識する:その②「小麦」

小麦に含まれるグルテンや牛乳に含まれるカゼイン、乳糖といった成分は、腸にとって良いものではありませんし、粘膜にへばりつくためにすっきりと便が出にくくなります。

便のコントロールには、腸の良いものを積極的に摂るだけでなく、悪いものを避けることも大事なのです。

 

もちろん、便秘の一番の原因である運動不足も解消する必要があります。とくに腹筋を鍛えることが大切です。

 

わたしはもともと便秘ではありませんでしたが、軟便で1度にすっきりと出きらないことも多々ありました。

そこで、クリニックでのお昼ご飯にうどんやラーメンなどの麺類はできるだけ避け、毎日「納豆」や「めかぶ」といったネバネバ食材とご飯を食べるようにし、夜に筋トレという生活にしたところ、ぐっと快便になり、痔の状態も良くなりました。

 

「痔主」の皆さんは、今述べたような普段の生活に気を付けつつ

・便意を催したら我慢せずにすぐに行く

・長い時間トイレに座らない(3分以内)

・きばらない、いきまない

・ウオシュレットで洗いすぎない

といった排便習慣の改善を心がけましょう。

 

ウオシュレットの弊害については、また後日書きたいと思います。

 

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「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ

 

日本消化器内視鏡学会専門医 

日本消化器病学会専門医、評議員

日本消化管学会胃腸科専門医

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