猫舌
先週のブログは、食道がんのリスクになるから熱い飲み物や食べ物は避けた方が良いよ・・・というお話でした。
そう考えると、そもそもアッツアツが食べられない「猫舌」の人には、食道がんや咽頭がんの発生が少ないのかもしれません。
(そんな調査は誰もやっていないので、あくまで推論ですが)
そんな「猫舌」な人あるある。
・出来立てアツアツの料理を前に「はよ食べーや!」「冷めたら台無しやんか!」と周りから責められる。
・小皿に取り分け、空気に触れるように平たく伸ばし、ひたすらじっと冷めるのを待つ。
・電子レンジのチンは表示時間よりだいぶ短め。
・タコ焼きと小籠包は、もはや手りゅう弾にしか見えん。
猫舌ちゃうから知らんけど。
そんないじらしい?「猫舌」の人は、そうでない人といったい何が違うのでしょうか?
実はこのネタ、数年前の「チコちゃんに叱られる!」でやってたんですね。
チコちゃんの答えは・・・
「食べ方が下手くそだから〜」
舌の分厚さや神経の分布はどの人もほぼ同じで、熱さへの耐性に個人差はありません。
猫舌の人とそうでない人の差は、舌の使い方なのだそう。
舌の中でもとくに熱さを感じやすいのは、舌の先端の部分。
舌の使い方が下手くそな猫舌の人は、熱さに敏感な舌の先っちょでアツアツの食べ物や飲み物を迎えに行ってしまう。
一方で、猫舌ではない人は、無意識のうちに熱さに敏感な舌先をうまく隠して、熱さに鈍感な舌の真ん中や奥の方まで食べ物を運んでいるのだそう。
ホンマかいな?
・・・と思われるかも知れませんが、ちゃんと研究しているマニアの先生がいらっしゃるんですね。
東海大学の高原太郎教授は「猫舌群」と「非猫舌群」に分けて熱いお茶を飲んだ時の舌の動きをMRIで検証されています。
すると、確かに猫舌群はまず舌先でお茶に接し、非猫舌群は舌を後ろに丸めて、下の歯と舌の間にポケットを作り、そこにお茶を溜めているのだそう。
熱いものを難なく飲める人は、舌の動きなんて意識したことはないでしょうが、どうやらそういうことのようです。
ためしに熱いお茶に猫みたいにペロッと舌先を当ててみると・・・
「アッっヅ!!」・・・確かにびびるほど熱い!
ちなみに、「猫舌」と命名されていますが、動物は基本みんな猫舌です。
そもそも、火を使って調理する人間以外は、熱いものを食べる機会なんてありませんしね。
熱いものを食べるようになった人間が、あとから身につけた言わば「技」なので、全員が器用にできるわけではない・・・ということのようです。
「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医、評議員
日本消化管学会胃腸科専門医