激辛と汗とわたし
辛いもの・・・時々無性に食べたくなりませんか?
と言っても、わたしは好きなだけで辛さに強いわけでは全くなく、食べると・・・
(;;≧口≦)<ヒィィイ!! ゴー炎炎炎
顔と頭から尋常じゃない滝汗;;;;;
そりゃあ、もう
真夏のすもう部かっ!?
えっ、シャワー浴びた?
っていうぐらい、びっしょり。
それどころか、
激辛料理を食べている芸能人をテレビで見るだけで、
いや、なんなら
「麻婆豆腐」
の文字を見ただけでも、じんわり汗をかくという体質。(←パブロフの犬!想像力豊かすぎるやろ)
もはや、文字だけでご飯一杯いける。(←いけんわ)
でも、好きなんですよねぇ。
この辛いものを食べた時に顔から頭部にだけ汗をかくのは、「味覚性発汗」と呼ばれる生理現象で、辛味成分のカプサイシンが舌の自立神経を興奮させることによる反射だと言われています。
つまり、熱い時に体温を下げるためにかく一般的な汗とは出る訳が違うのですが、詳しいメカニズムは未だによく分かっていないそうです。
そして、驚かれるかもしれませんが、正確に言うとヒトには「辛い」という味覚は存在しません。
「甘い」「しょっぱい」「苦い」「酸っぱい」「うまい」という味覚(五味)は、舌の表面の味蕾(みらい)という細胞で認識し、脳に伝わります。
一方で「辛い」は、舌の奥深くの感覚神経の表面にある辛みセンサーTRPV1(トリップブイワン)という受容体で認識され、「痛い」という感覚として脳に伝わっています。
さらに、TRPV1は「辛さ」だけでなく「熱さ」にも反応するので、冷たいカレーよりも熱いカレーの方がより辛く感じるのだそう。
「辛い」は味じゃなくて、正しくは「痛み」なのです。
じゃあ、なぜヒトはわざわざ「痛い」思いをするために好き好んで辛い物を食べるのか?
トウガラシを好んで食べる動物は、唯一ヒトだけです。
カプサイシンによってTRPV1が刺激されると、脳は「痛み」や「熱さ」を感じ取ります。
それは脳にとって体が傷ついたことと同じ認識となり、痛みを和らげるためにβ-エンドルフィンと呼ばれる神経伝達物質が分泌されます。
このβ-エンドルフィンには「痛みを抑える」以外に、「強い快感を引き起こす」作用もあるため、辛い物を食べると痛みと同時に快感も覚えるのです。
さらに、辛味成分以外の脂や甘みもβ-エンドルフィンを分泌させるので、甘辛カレーなんかを食べると相乗効果で完全に「脳内麻薬ハイ」。
インデアンカレーを食べたあとの多幸感ってそういう事だったのね・・・
(๑´ڡ`๑)
カプサイシンによる刺激は口の中だけに起こるわけでなく、消化管全体におよびます。
胃の調子が悪い時は刺激物を避ける・・・と言うのが世間の常識ですが、逆に少量のカプサイシンは、胃にとって良い働きをしてくれます。
感覚神経を介して胃酸の分泌を抑え、胃粘膜を保護し、食欲を増進するのです。
ただし「過ぎたるは猶及ばざるが如し」で、大量にカプサイシンを摂り過ぎるとTRPV1の機能不全を引き起こし、胃粘膜の保護作用がなくなってしまいます。
つまり、カプサイシンは量によって胃の味方にも敵にもなるのです。
また、肛門近くの直腸下部にはTRPV1が多く存在するため、カプサイシンで刺激されると強い灼熱感を感じます。
激辛を食べ過ぎると、お尻までヒーヒー言わされるので要注意!
ヒー!>(´∀`(⊃*⊂)
ある意味、辛いもの好きの方は、
自分の内臓を虐めながら
脳内麻薬ハイを楽しんでいる
・・・要約すると、
ドM。
(←言い過ぎ)
ジェットコースターで得る快感に近いのかもしれません。
痛みの刺激は繰り返すと慣れていきます。
辛いものを食べ続けると辛さに鈍感になり、さらなる刺激を求めて沼にはまります。
激辛は胃腸を虐めないほどほどが良いかと。
西宮市田中町5-2西宮駅前メディカルビル3F
「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医、評議員
日本消化管学会胃腸科専門医