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ひだ胃腸内視鏡クリニック

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日本人の胃は変わった?その②胃食道逆流症が増えた

日本人の胃は変わった?その②胃食道逆流症が増えた

わたしが医師になった20数年前は、「胸やけ」を訴えて来られる患者さんも、胃カメラで「逆流性食道炎」をみることも滅多にありませんでした。

その頃の日本は、ほとんどの方にピロリ菌が感染しており、除菌治療もまだ行われていませんでした。

ピロリ菌に感染したままの人は、慢性胃炎が進み、年々胃酸の分泌が減っていきます。

そのため、齢とともに胃と食道のつなぎ目が多少緩んできたとしても、胃酸の逆流による食道炎はほとんど起きなかったのです。

 

ところが最近は、ピロリ菌の感染率が下がったこと、さらに食生活の欧米化や過食によって、日本人の胃から胃酸が過剰に分泌されるようになりました。

 

その結果、明らかに増えてきたのが胃食道逆流症(GERD)です。

かつては欧米人の病気と考えられていたGERDですが、日本では1990年代後半から急激に増えてきました。

日本人の「胃が変わった」結果、「食道の病気が増えた」のです。

 

胸やけの症状は、胃酸を含む胃液が食道に逆流することによって起こります。

胃の粘膜とは違い、食道の粘膜には強い酸に対して防御する機能がありません。

そのため、食道の粘膜が逆流してきた胃酸に長い間さらされると、炎症や知覚過敏を生じて胸やけなどの逆流症状が引き起こされます。

 

クリニックには、「胸やけ」や「のどの詰まり」を訴えられる方が、たくさん来院されます。

しかも、最近は若い人に多いのが特徴です。

 

働きざかりの年齢の人は、 夜ご飯の時間が遅くなることもあるでしょう。

食べてから寝るまでの時間が短いと、胃の中の食べ物が消化されていないまま、体を横にすることになります。

胃から食道への逆流は、立っている時には重力に逆らって昇る必要がありますが、寝ている時には胃と食道が水平になりますので、簡単に起こります。

脂っこい食べ物は消化が悪いうえに胃酸の分泌も増やしますし、お酒は胃と食道のつなぎ目を緩めますので、逆流を助長することになります。

仕事で疲れたところ、夜中にラーメンと餃子にビールをプハーッと・・・気分は最高ですが、食道にとっては最悪です。

 

さらに、こういった不規則な食生活や運動不足が続くと、確実に肥ります。

お腹に溜まった内臓脂肪は、胃を圧迫して逆流を起きやすくします。

肥満の人は、スマホやパソコンの操作などでちょっと前かがみの姿勢になるだけでも、胃が圧迫されて逆流が起きてしまうのです。

 

ピロリ菌の感染が減ったことで、日本人の胃は大きく変わりました。

かつての日本人に多かった胃がんは、確実に減りつつあります。

その反面、欧米並みに胃酸が元気に出る胃に変わったことで、逆流性食道炎とそれに伴う食道がんの危険性は、増えつつあります。

せっかく胃の病気が減っても、かわりに食道の病気が増えては元も子もありません。

 

規則正しい時間に食事し、和食を中心にバランスよく食べ、食べ過ぎず、お酒を飲み過ぎず、肥らないように適度に運動し、上手にストレスを発散する・・・そういうものに わたしはなりたい(←宮沢賢治??)

 

なかなか簡単ではありませんが、これで食道の病気・・・だけでなく飽食の時代の多くの現代病が防げます。

 

西宮市田中町5-2西宮駅前メディカルビル3F

「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ

 

日本消化器内視鏡学会専門医 

日本消化器病学会専門医、評議員

日本消化管学会胃腸科専門医

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