小さい大腸ポリープは取る?取らない?その①
大腸ポリープは大きくなればなるほど、がんが含まれる確率が上がります。
これを基に、大腸内視鏡で発見される6mm以上のポリープ(腺腫)を内視鏡で切除するべきという考えは世界共通です。
では、がんが含まれる可能性が数百個に1個程度とかなり低い確率の5mm以下の小さな腺腫は取るべきか、取らないで様子を見るべきか?
この問いに「摘除する」と答えた日本の医師は1032人、「経過観察する」と答えた医師は1266人でした(日経メディカルOnline調査:2019年)。
なんと、意見がほぼ真っ二つに分かれています。
2014年に日本で発刊された「大腸ポリープ診療ガイドライン」では、「径5mm以下の微小腺腫について、隆起性病変は経過観察も容認される(経過観察を提案する)。」と書かれており、つまりどちらかと言うと「取らない」方が推奨されています。
ところが欧米では、小さなポリープもすべて切除してポリープの無いきれいな大腸(クリーンコロン)を保つようにすれば、大腸がんになる確率が圧倒的に低くなるというデータに基づき、腺腫は小さくてもすべて取ることが推奨されています。
ただし、アメリカは大腸カメラにかかる費用が60万円程度と非常に高額なので、1回の検査ですべて取ってしまおうと考えるのも無理はないという、日本とは異なる経済的な裏事情もあるのですが・・・。
ポリープの育ち方は世界共通のはずなのに、日本と欧米の内視鏡治療の方針にはこのように大きな違いがあります。
では、日本ではどうして「取る」「取らない」でこんなに医師の見解が分かれてしまっているのでしょうか?
これは、次回に説明いたします。
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「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ