呑気症① お腹が張る原因は空気の呑み過ぎ?
クリニックに来られる初診の患者さんの訴えでとくに多いのは、「お腹が張ってしんどい」という症状です。
その特徴は、
・朝起きた時は、お腹の張りはそれほど気にならない
・お昼から夕方ごろになるとお腹の張りが気になりはじめる
・お腹がキンキンに張って硬くなり、前にかがむのも辛い
・ゲップやおならが出ると少し楽になるが、なかなか出せない(我慢している)
・ひどいと夕食後や夜間にお腹が痛む
・胃カメラを受けてもなにも異常が無いと言われた
・色々な胃薬を試したが、あまりよくならなかった
・女の人に多い
・いつもストレスを感じている
といったところです。
お腹が張るのは胃腸にガスが溜まっているためです。では、その「ガス」はいったいなぜ溜まるのでしょうか?
胃腸に溜まっているガスのほとんどは、実は口から飲み込んだ空気です。腸内で発生するガスもありますが、その量はごくわずかなのです。
わたしたちが飲んだり食べたりするときには、気づかないうちにたくさんの空気を一緒に呑み込んでいます。水を飲むだけでも、その倍近い量の空気を無意識に呑み込んでいると言われています。胃に呑み込んだ空気はゲップとして一部は外に出ますが、残りは腸に流れていきます。空気の成分の8割を占める窒素は、体に吸収されないために腸内にガスとして溜まり、最後はおならとして出ていきます。呑み込む空気の量と、ゲップやおならで出ていくガスの量のバランスが取れている時は、お腹の中のガスの量はコップ1杯程度(約200ml)であり、お腹に張りは感じません。
ところが、呑み込む空気の量が多いと、胃腸に多量の空気が溜まり、ゲップやお腹の張りだけでなく、胃もたれや胸焼け、上腹部痛などの症状を引き起こします。これを呑気症(どんきしょう)または空気嚥下症と言います。呑気症の方は飲食時だけでなく、日常生活のなかで無意識に空気をたくさん呑み込んでしまっているのです。
次回は、なぜ呑気症が起きるのか?その原因について書きます。
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「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ