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ひだ胃腸内視鏡クリニック

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便秘の人は腹黒い?

便秘の人は腹黒い?

「腹黒い」・・・は、「心になにか悪巧みを持っている」「陰険で意地が悪い」と言う意味の言葉。

もちろん、便秘の方の性格が「腹黒い」という話ではありません。

 

便秘の方に大腸カメラを行うと、本来はピンク色であるはずの大腸の中が、文字通り「まっ黒」になっていることがあります。

さながら大阪おばちゃんの制服(←怒られんで)、「ヒョウ柄」のよう。

 

このようなまっ黒に染まった大腸を、「偽メラノーシス」と言います。

肌の黒ずみの原因として有名なメラニン色素とは違い、リポフスチンと呼ばれる色素が腸の粘膜に沈着している状態なので、「にせ」のメラノーシスと呼ばれています。

 

じゃあ、この黒い色素がどこからやって来るかと言うと・・・

その原因は、センナ、大黄(漢方)、アロエなどのアントラキニン系と呼ばれるタイプの便秘薬(刺激性下剤)の長期に渡る使用です。

体によくない下剤を長く使っている証拠が、腸に現れているのです。

 

リポフスチンの別名は、なんと「老化色素」。

年を取ると皮膚に出てくる「老人班」と呼ばれる黒いシミの正体も、実は同じリポフスチンです。

リポフスチンは皮膚だけでなく、心臓、肝臓、神経にも年と共に沈着し、細胞を機能不全に陥らせるため、老化の指標とされています。

 

刺激性下剤の長期連用は、腸が黒ずむだけでなく、腸の筋肉の動きや蠕動運動を調整する神経叢も障害していきます。

つまり、便秘を治そうと思って飲んだ薬が、皮肉なことに腸の老化をどんどん進めてしまうわけです。

その結果、薬を飲むほどに大腸の動きは悪くなり、ダラーっと伸びきってゆるんだ腸になってしまいます。

すると、さらに便秘が悪化。

はじめはよく効いていたはずの下剤は、次第に反応が鈍くなり、服用する量が増え、ますます動かない腸になっていく・・・という悪循環にはまっていきます。

 

「腹黒く」なる刺激性下剤には、

① センナ:プルゼニド・センノシド・アローゼン・ヨーデル・スルーラック・新ウィズワンなど

② 大黄:大黄甘草湯・麻子仁丸・大柴胡湯・乙字湯・桃核承気湯・防風通聖散などの漢方薬、タケダ漢方便秘薬、ナイシトールなど

③ アロエ:アロエ錠、アロエ粉末、アロエベラジュースなど

が挙げられます。

 

まず注意したいのが、漢方薬。

生薬なので体に安全だろうという思いがあるのか、大黄(ダイオウ)が偽メラノーシスを起こす危険があることを知らないケースが多いです。

これは、処方している医者側の認識が乏しい・・・という場合も残念ながらあります。

「やせ薬」として一時期もてはやされた、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)にも大黄(ダイオウ)が含まれています。

「最近よく下痢するんです・・・」と言ってクリニックに来られた患者さんのお薬手帳を見てみると、美容皮膚科で出された防風通聖散を飲んでいた・・・なんてこともざらにあります。

 

アロエに下剤の作用があることを知らずに、大好きなアロエヨーグルトを毎日食べていた結果、大腸がまっ黒になっていたという人も。

内視鏡検査後にお話を聞くと、「そう言えばよく下痢します・・・。知らずに、子供にも毎日食べさせてた・・・。」

 

また、「お腹スッキリ」「快便」「ダイエット!」などと謳う健康食品、お茶、サプリメントには、そのほとんどに刺激性下剤の成分が含まれていると言っても過言ではありませんので、要注意です。

便が出た分の体重が減っているだけで、実際には痩せてはいませんよ。

みなさん、騙されないように!

 

「偽メラノーシス」と診断された方は、便秘を治すために根本の生活習慣・食生活を改め、腸に刺激を与えない下剤へ変更し、刺激性下剤は連用するのを控え、どうしてものときだけ頓服で使うように切り替えていきましょう。

 

原因を断つことができれば、腸がまっ黒の人でも1年程度で沈着していた色素は消え、従来のピンク色の粘膜に戻ると言われています。

 

「オシャレは見えないところから。」とか言ってる場合じゃありません。

ヒョウ柄で着飾るのは服だけにしときましょうね。

 

「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ

 

日本消化器内視鏡学会専門医 

日本消化器病学会専門医、評議員

日本消化管学会胃腸科専門医

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