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ワクチンで帯状疱疹の予防を!その2

ワクチンで帯状疱疹の予防を!その2

先週のブログは、帯状疱疹になる人が増えているというお話でした。

そこで大切なのが、ワクチンによる予防。

最近では、帯状疱疹ワクチンのTVコマーシャルもよく目にしますね。

 

帯状疱疹の発症を予防するためのワクチンは、2種類あります。

 

1つは従来からあった「弱毒生水痘ワクチン」です。

値段が安く(約8000円)、1回の接種で済むことが利点ですが、もともとは小児用のワクチンであり、成人が帯状疱疹の発症を予防する効果は50%~60%と中等度で、持続する期間も5年程と限定されています。

また、生きているウイルスの力を弱めて作った生ワクチンであるため、免疫機能が低下する病気の方や、免疫を抑制する治療を受けている方には、ワクチンそのもので発症してしまう可能性があり、使用できません。

 

もう1つは2018年に新たに承認された「不活化ワクチン」のシングリックスです。

シングリックスは、帯状疱疹の発症予防効果が50歳以上で97%、70歳以上で91%と、従来の生ワクチンに比べて非常に高い有効性が示されています。

また、ワクチンの接種後、少なくとも10年間は80%を超える有効性が確認されており、長期に渡って予防効果が期待できます。

さらに、不活化ワクチンのため、免疫機能の弱った方でも接種が可能です。

 

シングリックスは、2018年3月にまず50歳以上の成人を対象として接種が承認され、さらに2023年6月に病気そのものまたは治療によって免疫機能に低下があり、帯状疱疹を発症するリスクが高いと考えられる18歳以上の成人にまで接種の対象が拡大されました。

 

つまり、50歳以上の方に加えて、現在では炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病)などで、病気を落ち着かせるために免疫を抑制する治療を受けている18歳以上の若い方もワクチン接種の対象となっています。

 

ただ、新型コロナに対するワクチンでも改めて浮き彫りにされたように、ワクチンはメリットばかりではありません。

このワクチンのデメリットは大きく2つ。

 

1つ目のデメリットは、ワクチンの費用が非常に高額だということ。

当院で受けるシングリックスの接種費用は1回21,000円(税込)です。

2ヵ月空けて合計2回の接種が必要ですので、総額は42,000円(税込)となります。

(18歳以上は1~2か月の間隔で投与)

ワクチンは保険適応外ですので、全額を自費でご負担いただくことになります。

自治体によっては、費用の一部を助成するところも出てきていますが、西宮市を含む兵庫県のほとんどの地域では、残念ながら今のところ行われていません。

 

・・・なかなかの金額ですよね。(これでも他の医療機関よりはちょっとお安く設定しているのですが)

ワクチンをお考えでも、費用を聞いて「えっ!そんなに高いんですね!家族会議をしてから考えます・・・。」と躊躇される方も、少なくありません。

ただ、実際に帯状疱疹に罹り、長期に後遺症に悩まされれることになれば、ワクチン以上に医療費がかかったり、通院や療養で労働生産性まで低下してしまう・・・ということも考えられます。

そして、インフルエンザやコロナのワクチンと違い、何年も効果が続きますので、基本的には一生に一度(正確には2回)の接種です。

そう考えると、費用対効果としては悪くないのかもしれません。

 

2つ目のデメリットは副反応。

頻度の高い副反応(10%以上)は注射部位の痛みや腫れで、他に全身倦怠感、頭痛、筋肉痛、悪寒、発熱などが報告されています。

また、ごくまれですが、アナフィラキシーショックといった重大な副反応が発生するおそれもあります。

弱毒生水痘ワクチンよりもやや多く、コロナワクチン接種後の副反応に近い印象を持っています。

その多くは重篤ではなく、起こったとしても解熱鎮痛剤の服用などで対応可能で、ほとんどが3日以内に改善します。

 

もちろん、ワクチンさえしておけば、帯状疱疹を完璧に予防できる・・・というものではありません。

ただ、発症しても症状が軽く済むこと、合併症を起こしにくくする効果もありますので、対象となる方には積極的に接種しておくことをお勧めします。

メリットとデメリットをよくお考えのうえ、ご検討ください。

 

接種を希望される方は、あらかじめワクチンを準備する必要がありますので、ご予約をお願いいたします。

 

「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ

 

日本消化器内視鏡学会専門医

日本消化器病学会専門医、評議員

日本消化管学会胃腸科専門医

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