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ひだ胃腸内視鏡クリニック

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ピロリ菌はいつどうやって感染する?

ピロリ菌はいつどうやって感染する?

胃の粘膜に感染して悪さをするというピロリ菌。

では、ピロリ菌はいつ感染するのでしょうか?

その多くは、免疫力がまだ十分に整っておらず、胃酸の分泌も少ない乳幼児期だと言われています。菌が入ってきても症状は何も感じないことが多く、知らないうちに感染しています。そして、一度感染したピロリ菌は胃の中に一生棲み続け、自然にいなくなることは稀です。
一方、大人になると免疫が整い、胃酸の分泌も多くなるために、新たにピロリ菌が感染することはほとんどありません。もし、感染したとしても一時的で治まることが多いと言われています。

では、どのようにして感染するのでしょうか?

胃に中にピロリ菌が感染している人の唾液や歯垢、便を調べると、そこからもピロリ菌が検出されます。つまり、唾液や便などを介して、人から人へうつっている可能性が高いのです。
ピロリ菌の感染ルートは実は今も明らかになっていないのですが、以下の2つが想定されています。

① 便から口へ:むかし、水洗トイレが無い衛生環境が良くなかった時代に、便の中のピロリ菌が井戸水などを介して飲料や食べ物に混じり、それを飲んだり食べたりすることで感染が起きたのではないかと考えられています。
実際、戦前は世界中のほぼ全ての人が、ピロリ菌に感染していましたし、発展途上国では今なおこれが主な感染ルートだと考えられます。逆に、日本も含めて衛生状態が良くなった国では、ピロリ菌に感染しない若者が増えてきました。

 

② 口から口へ:衛生状態が良くなった現在では、主な感染ルートは家族だと考えられています。実際、ピロリ菌に感染している親から子供へ、そしてさらに兄弟同士へピロリ菌をうつしあっていることが証明されています。親子間のキスや家族一緒の食事によって、口から口へと唾液に含まれるピロリ菌が運ばれて感染するようです。家族内だけでなく、保育所や幼稚園などの集団生活でも感染するのではないかという説もあります。
また、大人の場合は消毒の不十分な医療行為(胃カメラ、歯科治療など)が原因で、ピロリ菌が感染する危険性も指摘されています。ただし、現在では、病院において胃カメラの消毒を徹底しており、感染の可能性はほぼありませんのでご安心ください。

つまり、大人になってから検査で「ピロリ菌がいますよ。」と言われた場合、何十年も前に飲み水や親から感染したピロリ菌を、ずっとずっと胃の中で飼い続けていたということを意味しています。
大人同士は、キスをしても同じ鍋をつつき合っても簡単にはうつりません。実際、同じ家族内でも、「夫婦間」の感染は稀なのです。
「ピロリ菌の発見者のマーシャル博士が、自ら菌を飲んで胃炎が起こったという話をしたじゃないか!」という鋭いつっこみがあるかも知れませんが、あれは培養した菌の塊を大量に飲んだから感染したのです。唾液に含まれるピロリ菌は、微々たる量です。

現在、約6割の日本人が感染しているピロリ菌ですが、衛生環境が良くなったことで若者の感染率はどんどん低下しています。30歳未満では保菌率は20%以下です。

さらに、積極的に除菌治療が行われるようになってきていますので、遠くない将来に日本からピロリ菌がいなくなる時代がやってくるでしょう。

これまでの人類の歴史で感染しているのが当たり前だったピロリ菌が、完全にいなくなった時にどうなるのか?
胃がんは過去の病気になるのか?
はたまた、菌がいなくなったせいで別の病気が新たにでてくるのか?
興味は尽きませんが、それが分かるころにはわたしはこの世にはいないでしょうね。