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ピロリ菌に感染していない人は何年に1回胃カメラを受けるべき?

ピロリ菌に感染していない人は何年に1回胃カメラを受けるべき?

2022年のブログ「胃カメラはどのくらいの間隔で受ければいい?」でも触れましたが、ピロリ菌の感染が過去にあったか、なかったかで胃がんになるリスクは大きく異なります。

 

最近の若い方は、ピロリ菌に感染している確率がとても低くなっており、ピロリ菌に関連して発生する胃がんの頻度は、明らかに減ってきています。

 

一方で、現在の日本では、50歳以上の方を対象に2年ごとにバリウムまたは胃カメラによる胃がんの集団検診が行われています。

ピロリ菌に感染していない方がどんどん増えていくこの先、検査の間隔は今のままではたして妥当なのでしょうか?

これまで、ピロリ菌に未感染の方が何年に1回胃カメラを受けるべきかについて検討した報告はありませんでした。

そこにこの度、日本から興味深い研究結果が報告されました。

Ishibashi F, et al. Gastric Cancer 2024

 

2016年から2022年までの最近の6年間に12施設で行われた519,368例の胃カメラと、その際に検出された97例の「ピロリ菌未感染の胃腫瘍(H. pylori‑naïve gastric neoplasms: HpNGN)」のデータをもとに、年齢別の有病率、腫瘍成長率、検出閾値サイズなどを算出し、さらに人口統計学的変化まで加味した新しい数学モデルが開発されました。

 

そして、その数学モデルでシミュレートしたところ、「45歳から5年間隔」で胃カメラを行うスクリーニング戦略が、ピロリ菌が感染していない方に発生する胃腫瘍を見つけるうえで、もっとも効率が良いという結論が導き出されました。

 

この戦略に則ると、ピロリ菌未感染の胃腫瘍の発見率は50%以上、そのほとんどは20mm未満のサイズで発見され、粘膜下深部浸潤率は30%未満とのことです。

 

つまり、ピロリ菌に未感染であれば胃カメラを5年間隔に伸ばしても、胃に発生する腫瘍の多くは治療可能な早期の段階で発見されるということが推定されます。。

 

以前のわたしのブログでは、ピロリ菌に未感染の方は、念のため3〜5年に1度胃カメラを受けることを推奨していましたが、おおむね妥当な見解だったということになります。

 

この先も、ピロリ菌の感染率が高かった時代をベースに考えられた「50歳から2年ごと」の胃がん集団検診は当面の間は変わらないと思いますが、無用な検査を減らし医療費を削減するためにも、将来的には個々のリスクに応じた検査の間隔に変わっていくものと思われます。

 

「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ

 

日本消化器内視鏡学会専門医

日本消化器病学会専門医、評議員

日本消化管学会胃腸科専門医

日本炎症性腸疾患学会専門医・指導医

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