ギャップ萎え・・・
- 2021年3月28日
- クリニック
「あの人、一見チャラいし頼りなさそうだけど、やる時にはきっちりやるんだね!」
「普段は強面でクールなのに、子供や動物には飛び切りの笑顔を見せるからかわいい!」
などなど、見かけによらないステキな一面にドキッとしたり、好印象を抱いたりするのが「ギャップ萌え」。
「この人、思っていたよりも〇〇だったんだ!」とプラスの印象を与えるこんなギャップなら大歓迎ですね。
今まで忙しい大学の外来で一瞬しか言葉を交わせなかった患者さんがわたしに対して持っていた印象は、たぶん「クールな先生」というものではないでしょうか?
開業してこのブログで私生活まで晒すようになってから、「先生、意外と庶民的なんですね。」とか、「あんな面白い事も書くんですね。」とか色々な反響をいただきます。
「萌え」ているかどうかは別にして、わたしの人となりが何となく伝わっているのなら幸いです。
一方で、同じギャップでも「一見感じ良さそうなのに、実はそうだったんだ・・・」とマイナスの方向に働くギャップにがっかりさせられる「ギャップ萎え」は避けたいものです。
例えば、初めて行ったお医者さんで、
「急に痛みが出て大変でしたね〜。」
「検査の時、もしも痛かったら遠慮なく言ってくださいね〜。」
と笑顔でやさしく声を掛けられ、
「やさしそうな先生で良かった・・・」
とほっとしたのもつかの間、その先生がスタッフに
「おい、あれ持ってきて!」
「なにしてんの!早く!」
と、きつい言い方をしているのを聞くと、
「怖ぇ〜、スタッフにはめっちゃ「オレ様」やん・・・」
「あっちが本性で、こっちが営業スマイルか・・・」
とドン引きしてしまいます。
これぞまさしく「ギャップ萎え」・・・
忙しくてイライラしている時ほど、焦っている時ほど、そして相手が身内であるほどに、その人の本性が垣間見えるのではないでしょうか?
とくに、上から目線の物言いは、傍から見ていて気持ちの良いものではありませんね。
そもそも、医療の現場において医師が特別偉いわけでも何でもありません・・・が、勘違いしている医師は確かにいるように感じます。
さまざまな職種の医療スタッフが互いの専門性を活かして連携・補完し合う「チーム医療」という概念が定着してきたのは最近10年ぐらいのことで、それまでは医師をトップにスタッフが下について指示に従うというピラミッド型の医療が当たり前の世界でした。
そのためか、未だに「チーム医療」と言っても名ばかりだなぁと感じることも多く、医師がトップという考えは根深いように思えます。
確かに医師が責任を負う部分は大きいとは言え、神様でも何でもないんですけどねぇ・・・
そしてこれは医師側だけでなく、スタッフ側も意識を変えていかないといけない問題だと感じています。
医師も看護師も事務スタッフも、それぞれ仕事の内容、専門性が違うだけでみんなが尊い仕事をしていることに変わりはありません。
少なくともわたしには「上下」の意識はありませんし、それぞれの職種の方に対して「自分には絶対できないよなぁ・・・」とむしろ尊敬することばかりです。
わたしは医師になってから今まで、スタッフや同僚・後輩医師に対して怒鳴ったことは一度もありません。もちろん、「こうした方が良いんじゃない?」「それは危ないからやめた方が良いと思うよ」というアドバイスや注意をすることはありますが、「怒る」という必要性は全く感じていません。
医師だけでなく看護師、コンシェルジュなど多職種それぞれの視点や専門知識を集めて、対等な立場のチームとして患者さんのためにより良い医療を作り上げるのが、クリニックの目標です。
そのためには、スタッフから偉い人扱いされる院長ではダメなんです。
(もちろん、見下されてもダメですけどね・・・)
大きな病院とは違い、クリニックでは院長(医師)=雇用主、スタッフ=雇用者の関係でもあるわけですが、「これは先生には言えない」という壁ができてしまうと、スタッフから素直な意見が聞けなくなり、メリットは何もありません。
スタッフとは、ともに働く仲間として患者さんのために言いたいことは何でも言い合える、「上下」ではなく「フラット」な関係でいたいと思います。
西宮市田中町5-2西宮駅前メディカルビル3F
「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ