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アニサキスにまつわるエトセトラ:その1

アニサキスにまつわるエトセトラ:その1

食欲の秋・・・秋が旬と言えば秋刀魚(サンマ)。

 

最近は漁獲量が激減し、もはや昔のような「お安い大衆魚」ではなくなってしまいましたが、やはり旬の秋に食べる秋刀魚は脂がのっていて格別です。

秋刀魚の塩焼とビール(←マスト!)・・・最高ですねぇ。

 

でも、秋刀魚が旬の秋は、実は「アニサキス」の旬でもあるのです。

 

厚生労働省のHPでアニサキスによる食中毒発生状況(患者数)をみると、最近の年間の発生件数は300〜400件程度で、実はすべての食中毒の中で最多。

そして、毎年10月に増えるアニサキスの事例は、秋刀魚によることが多いのだそうです。

 

昔はスーパーに「秋刀魚の刺身」なんて売っていなかったと思いますが、輸送技術の発達によって水揚げされた北海道や東北の漁港から遠く離れた都市部でも、鮮度の高い秋刀魚を「生」で食べられるようになりました。

 

しかしその結果、秋刀魚によるアニサキス症も増えてしまったのです。

 

もちろん、塩焼きにすれば安全です。

虫も焼けばただのタンパク質。(←言い方!)

アニサキス付きでもおいしく頂けます。

「秋刀魚の塩焼き 大根おろし・すだち・ひっそりアニサキスを添えて」(←添えんでええわ!)

 

あっ、ちなみに秋刀魚の塩焼きを食べている時に、内臓の辺りに「赤い糸」のようなモノが見えることがありませんか?

 

・・・実は「あやつ」もラジノリンクスと言う名の寄生虫。

 

これを聞いたウチのスタッフは

「いやーっ!! 聞かんかったらよかった・・・もう、食べられへんやん・・・」

と申しておりました。

 

知らぬが仏。

このブログを読んだあなたも・・・知ってしまいましたね。( ̄ー ̄)ニヤリ

「いやーっ!!」

 

まぁ、お魚に寄生虫がいるのは、ある意味ごく自然なことですからね。

 

実は、ほかの食中毒とは違い、アニサキスをはじめとする寄生虫は「新鮮だから大丈夫!」という訳ではありません。

魚が死んでから時間が経つにつれ、寄生している内臓から筋肉に移動するので、食中毒を予防する上で鮮度が良いこととか内臓を早く処理することは大切ではあるものの、獲れたてのピチピチだろうがなかろうが、いるもんはいる。

冷凍すると虫は息絶えるので、むしろ新鮮な「生」だからこそ危ないとも言えます。

 

そして、それはもちろん秋刀魚に限ったことではありません。

アニサキスは、サバ、アジ、イワシ、カツオ、サケ、イカなどにも寄生していることが知られています。

 

さらに最近、魚屋さんが魚をさばくときに、1匹の魚から見つかるアニサキスの数が明らかに増えており、また、見つかる魚の種類も増えているのだとか。

今や、ほとんどの魚にいると言っても過言ではない。

(ちなみに、養殖の魚には基本的にいません。理由はまた次回に。)

 

確かに、ここ数年で芸能人がアニサキス症になったというニュースをよく目にするようになりましたね。

 

先ほど厚生労働省の報告でアニサキスの食中毒が年間300人前後と書きましたが、実はこの患者数はまさに氷山の一角で、その実数ははるかに多いことも分かってきました。

 

国立感染症研究所のグループが、診療報酬明細書のデータをもとに患者の数を試算したところ、厚生労働省の報告の50倍以上、その数はなんと年間およそ2万人。

10年前の推計は年間およそ7000人でしたので、漁獲量に相反して急激に増えてきているのは間違いなさそうです。

 

実際、クリニックでもたった2年の間に4人のアニサキスの患者さんを診療しました。

 

次週は、「なぜ、今アニサキスが増えているのか?」をアニサキスの生態をふくめてお話しします。

 

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「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ

 

日本消化器内視鏡学会専門医 

日本消化器病学会専門医、評議員

日本消化管学会胃腸科専門医

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