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ひだ胃腸内視鏡クリニック

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のど元過ぎれば・・・あつあつは食道がんのリスク!

のど元過ぎれば・・・あつあつは食道がんのリスク!

「のど元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざがあります。

 

熱いものも、飲みこんでしまえばその熱さを忘れてしまうように、辛い・苦しい経験も、過ぎ去ってしまえば簡単に忘れてしまうという例えですね。

 

このことわざの通り、熱いものを飲み込んだ時に実際に「熱っ!」と感じるのは、舌とのど元(医学用語では咽頭)だけです。

のどを過ぎた先の食道、胃、小腸、大腸には、熱さを感じる神経はありません。

 

「熱いものを飲んだ後に、お腹がポカポカするじゃないか!」

・・・と、思われるかもしれませんが、それは消化管そのものではなく、周りの組織が熱を感知しているのです。

 

口に入れて「熱っ!」で思い出されるのが、ダチョウ倶楽部の「あつあつおでん芸」。

上島さんが口に入れたあつあつ卵をポーンって吹き出して、リーダーに当てるくだり・・・好きやったなぁ。

あの伝統芸は、もう見られへんなぁ・・・。

 

・・・脱線しました。

 

実は、この「食道が熱さを感じない」というのが問題。

感じていなくても、熱いものに触れれば当然やけどします。

 

食道の粘膜がやけどすると、それを治すために細胞が修復・再生しようとします。

修復・再生の過程を何度も何度も繰り返すうちに、遺伝子に傷が付き、がん細胞が発生しやすくなります。

 

実際に、熱い茶粥をかき込んで食べる習慣がある奈良県や和歌山県は、食道がんの発生が多い地域です。(日常的に茶粥を食べている家庭は、最近は少ないと思いますけど)

 

海外では、熱いマテ茶を金属製のストローですすって飲む習慣がある南米において、喉頭がんや食道がんの発生が多いことが知られています。

 

また、イランで5万人を対象に行われた大規模なコホート研究では、

・普段飲んでいる飲み物の温度に応じて食道がんのリスクが上がる。

・70度を超える「とても熱い」お茶を好む人は、「冷たい/ぬるい」お茶を好む人と比べて、食道扁平上皮がんを発症する可能性が2.41倍高かった。

という結果が出ています。

 

こういった科学的根拠に基づき、「日本人のためのがん予防法」(国立がん研究センター)は、熱い食べ物や飲み物が食道がんの発生リスクを高めることは「ほぼ確実」と評価しています。

 

また、国際がん研究機関(IARC)も、65℃以上のとても熱い飲み物は「ヒトに対しておそらく発がん性がある」物質に分類しています。

 

このように「あつあつの飲み物・食べ物」は、喫煙、飲酒と並ぶ食道がんのリスクです。

「酒好き」、「タバコ好き」、さらに「熱いもん好き」の3つ巴の方は、相乗効果でさらに危険性が高まります。

 

あんかけ焼きそば、麻婆豆腐にビール!

 

アッツアツをハフハフしながら食べて、ビールでゴキュッと流し込む・・・最高ですが、食道を思いっきりいじめています。

 

普段から高温で飲みがちなお茶、コーヒー、紅茶なんかも、適度に冷ましてから飲む方が、食道にとっては安全です。

 

「熱い」ではなく「温かい」にすることが、食道がんの予防につながります。

 

「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ

 

日本消化器内視鏡学会専門医

日本消化器病学会専門医、評議員

日本消化管学会胃腸科専門医

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