きのこは生で食べられる?
先日スタッフと話している時に、「きのこは生で食べられるのか?」という話題が出ました。
スライスした生のマッシュルーム入りのサラダを食べたことがありますが、しいたけ、舞茸、えのき、しめじ、エリンギといったきのこの生食は、確かに聞いたことがありません。
生で食べられるきのこはマッシュルームだけ?
他のきのこを生で食べるとどうなる?
・・・と、疑問が湧いてきたので、きのこについていろいろ調べてみました。
さて、生食の話をする前に、きのこについてもう一つ議論の的になるのが
「洗うのかい?洗わないのかい?どっちなんだい!」問題。
これについては、市販のきのこは「水洗いせずに使う」のが正解なのだそうです。
市販のきのこの多くは、殺菌した菌床に種菌を植え付け、屋内において無農薬で栽培されています。
そのため農薬の残留や雑菌混入の心配は少なく、洗う必要性がそもそも無いのに加えて、洗うことで水っぽくなったり、風味が落ちたり、水溶性のビタミンなどの栄養成分が流れ出たりしてしまいます。
つまり、洗うことにはデメリットしかありません。
汚れが気になる場合には、濡らしたペーパータオルなどできのこの表面をサッと拭き取ればOKです。
では、本題のきのこの「生食」について。
これについては、きのこは「生で食べてはいけない」のが原則です。
その理由は2点。
1点目は、そもそも生で食べてもあまりおいしくないこと。
きのこは加熱することで、味や香り、食感がよくなる食材です。
2点目は、食用とされているきのこでもわずかに毒素や有害物質を含んでおり、生食すると下痢や腹痛など、さまざまな食中毒症状を引き起こす可能性があることです。
有名なのは「しいたけ皮膚炎」。
とくにバーベキューの季節、つまり夏場に多く、皮膚科ではよく知られているのだそう。
原因となる物質は特定されていませんが、生焼けのしいたけを食べてから1~4日以内に、体から手足にかけて激しいかゆみが生じ、ひっかいたあとに一致して線状の赤い発疹ができるのが特徴です。
また、えのきには「フラムトキシン」という溶血作用のあるたんぱく質が含まれており、生で食べると貧血や中毒症状を起こすおそれがあります。
そして意外と盲点なのがなめこ。
真空パックに入ったなめこは、一見すると調理済のように勘違いしてしまいますが、あれは生です。
湯がかないでそのままをおろしなめこやそばの薬味に使ったりすると、下痢や腹痛、吐き気や嘔吐の症状が現れることがあります。
その一方で、生でも食べられる唯一のきのこがマッシュルーム。
マッシュルームには毒素や有害物質が含まれず、生食しても食中毒になる心配がないそうです。
そして、加熱したものとは違い、生食ならではのシャキシャキとした食感が楽しめる「生でも美味しい」きのこです。
ただし、マッシュルームを生で安全に食べるには、「鮮度」がとても重要。
生でいけるのは、収穫後、冷蔵保存で3~4日以内とされています。
つまり、外国産のものは輸送の時間を考慮すると、やめておいた方が良い。
国産で、丸く、表面がすべすべしていて、カサが締まって開いていないものを選ぶのがポイントのようです。
逆に言うと、カサと軸の間に隙間が空いているものは、加熱してから食べた方が無難。
身近な食材でありながら、意外と知らないきのこのこと。
とくに、これからのバーベキューシーズンにはきのこの生焼けに注意してくださいね。
「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医、評議員
日本消化管学会胃腸科専門医