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ひだ胃腸内視鏡クリニック

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大腸カメラは辛い? その②

大腸カメラは辛い? その②

なぜ、大腸カメラが多くの内視鏡医にとって難しいのか?

大腸は直腸から盲腸までおよそ1.5mの長さですが、真っすぐではなく曲がりくねっています。おしりから入れたカメラを単純に押せば入るというものではなく、曲がっている腸を畳み込みながら進まないと患者さんは辛い思いをしますし、盲腸までたどり着きません。

AとBはどちらもCT検査でみた大腸ですが、BはAに比べて曲がりが強く、長さも倍ぐらいあります。大腸の長さや曲がり方は人それぞれで、とても個性豊かです。
当然、腸が長く、曲がりが強い人ほど、カメラを入れるのは難しくなります。

さらに、体型や年齢、癒着(腸の引っ付き)も難しさに関係します。

痩せている人や体が小さい人は、狭い骨盤の中に大腸がぎゅっと折りたたまれているので腸の曲がりが強く、さらに内臓脂肪が少ないために腸の固定が弱くてクルクル動いてしまうので、痛みなくカメラを入れるにはかなりの技量を要します。
逆に、太っている人は腸にまとわりつく脂肪が多すぎて、きれいに腸が畳めません。

また、腸は年を取るほどに長くなり、ご高齢の方は難易度が上がります。

帝王切開などお腹の手術をしていると、腸が周りと引っ付いてしまうことがあり(癒着)、痛みを感じやすく、腸を畳むのが難しくなります。

・・・つまり、中肉中背の、若い、手術を受けていない方は比較的難易度が低いのですが、それ以外の多くの方は、カメラを入れることさえ、そう簡単ではないのです。

困難例に立ち向かうためには、「技」の引き出しを増やすしかありません。大腸カメラはある種の「職人技」です。

わたしは、丁寧かつ無駄のない操作を心掛けているのはもちろん、大腸のどの部位でどの「技」を掛けるのかを、理論的にパターン化しています。そして、大腸カメラを行う前に、難易度がどれくらいで、どう対処すべきなのかをあらかじめ想定しているので、検査中にあわてることはありません。

ただ、どんなに技術を磨いても、100%患者さんに痛みを感じさせることなく盲腸までたどり着くことはできません。患者さんの不安や状態に応じて、鎮静剤や鎮痛剤を適切に使うことも大切です。

そして、熟練者はやめ時も知っています。あせって周りが見えなくなり、患者さんかかる負担に気付かずに検査の完遂にこだわる医師もいますが、代わりの検査もありますので、自分の技量で対応できないときにはあきらめも肝心だと思っています。