コンビニおにぎりは添加物まみれ!?
いつまでもつやつやで硬くならないおにぎり
いつまでもふっくらしていてカビないパン
いつまでもきれいな色でシャキシャキのサラダ
レンチンしても卵が半熟のままの親子丼
・・・よく考えると、どれもこれも不思議じゃないですか?
コンビニやスーパーで売られているこれらの食べ物は、「食品添加物」のおかげで成り立っています。
食品添加物は、食べ物を腐らせないために、つまり食中毒を起こさず「安全に食べる」ために欠かせないものです。
また、食べ物の色・香り・味・食感をよくするために、つまり「おいしく食べる」ためにも欠かせません。
そして、人が生涯毎日摂取し続けても健康への悪影響がないとされる種類や量を国が定めていますので、少なくとも「直接的に」体に悪いものとは言えません。
ですが、食品添加物が腸内環境に少なからず影響を及ぼすことは間違いなく、炎症性腸疾患(IBD)を発症する危険因子の1つであることもことも分かってきています。
実際に、コンビニおにぎりの添加物について検証された方(自称乳酸菌に選ばれた男:中村仁さん)の動画を見てみると・・・
https://www.youtube.com/watch?v=u3XlO7Coits
うーん・・・
これ見たら、食べる気無くすよなぁ・・・
コンビニやスーパー各社で、使われている添加物の種類や量はずいぶん違うようです。
ちょっと誤解されるかもしれないので付け加えますと、動画の中でお湯に浮いているのはおそらく植物油で、添加物そのものではないと思います。
ご飯を炊く時に油を入れてお米にツヤがでるようにしているのでしょう。
ところが、原材料の欄のどこにも「油」とは書かれていません。
実は、原材料に占める重量が5%未満のときは、入れていても記載しないで良いというルールがあるとのこと。
うーむ、これだと少量なら何でも入れ放題とも言える・・・。
食の安全が叫ばれる中、最近は企業も努力して添加物を極力減らしているようなので、数年前と比べると格段にマシになっているのですが・・・。
さて、おにぎりやコンビニ弁当などによく使われている添加物には、
・グリシン
・pH調整剤
・調味料(アミノ酸)
・増粘多糖類
などがあります。
聞きなれない「グリシン」と「pH調節剤」とは一体何なのか?についてお話ししましょう。
・グリシン
グリシンはアミノ酸の一種で、牛肉、豚肉、鶏肉、エビ、カニ、ホタテなど自然の食材に含まれているタンパク質です。当然、食べても問題はありません。
ですが、食品添加物として使われているのは化学合成で作られたもの。
グリシンは最も構造が単純なアミノ酸であり、安価に大量に作れてしまいます。
「もともと自然にあって普段から食べているものだから安全だろう」というのが今の見解ですが、化学合成されたグリシンを多量に摂取した際に本当に安全なのかどうかは、十分に検証されているとは言えません。
ちなみに日本で使われている添加物のほとんどは、外国産だそうです。
いくらおにぎりのコメが国産米でもねぇ・・・。
グリシンにはほのかな甘みと旨味があり、さらにご飯にツヤを与えてくれます。
また、菌の増殖を抑える効果があり、食品の日持ちをよくするためにも使われます。
まさに、おにぎりにぴったりの便利な添加物です。
長時間冷蔵棚で陳列されていても硬くならず、艶々でいられるのはおそらく油とグリシンのおかげなのでしょう。
他にも、サンドイッチやお惣菜などあらゆる食べ物に使われており、パッケージには調味料(アミノ酸等)またはグリシンと表記されています。
また、グリシンを使うと塩辛さが和らぎ、旨味が引き出されるとされています。
聞こえは良いのですが、実はこれが問題。
食品を長持ち持たせようとすると、どうしても塩辛くなりがちです。
つまり、腐らせないために大量に入れた塩を、グリシンの甘みと旨味である意味ごまかせてしまえるのです。
具の種類にもよりますが、おにぎり1個に含まれる塩分はおよそ1.0g〜1.8g。
1日の塩分接種量の目標値は、男性8g、女性7g未満です。
おにぎり2個とおかずをちょっと食べただけで・・・結構やばい塩分量ですよね。
コンビニおにぎりは、添加物だけでなく塩分もかなり多いので、血圧高めの方などにも要注意です。
・pH調整剤
食べものが変色、変質、腐らないように、より良く・長く品質を保つためには、食品に合ったpH(酸性からアルカリ性のバランス)を保つ必要があります。
そのために使われるのが、pH調整剤という食品添加物です。
コンビニやスーパーのように長時間食品を陳列しておくためには、見た目をおいしそうに保ち、腐敗を防ぐための工夫が欠かせません。
以前は「合成保存料」が広く使用されていました。
ところが健康志向が高まった近年、「合成保存料は健康に良くない」との認識が広まり、代わりに使われるようになったのがグリシンやpH調整剤です。
グリシンやpH調整剤でも合成保存料と似たような食品保存効果が得られ、しかも「合成保存料不使用!」と謳うことができるわけです。
pH調整剤は、おにぎりだけでなく、弁当、サラダ、パン、サンドウィッチ、うどん、かまぼこ、乳製品、冷凍食品などさまざまな食品に使われています。
サラダやカット野菜がいつまでもきれいな色でシャキシャキなのはpH調整剤のおかげなのです。
生野菜には添加物なんて入ってない・・・という訳では決してありません。
pH調整剤にはリン酸・クエン酸・コハク酸・酒石酸など色々な種類があるのですが、表記は「pH調節剤」とひとまとめにして良いことになっています。
消費者には何がどのくらい含まれているのか、さっぱり分かりません。
国連の食糧農業機関(FAO)と世界健康機関(WHO)の評価では、今のところpH調整剤は安全とされています。
しかし、pH調節剤の種類によっては、カルシウムやマグネシウム、鉄などの吸収に影響を及ぼしたり、腸内細菌のバランスを乱したりする可能性があります。
なにも「食品添加物」=「悪」だと短絡的に言いたいわけではありませんし、いたずらに恐怖をあおるつもりはありません。
そもそも、現代の食生活で「添加物ゼロ」の生活なんて不可能です。
過剰に気にしすぎると、日々の生活もままなりませんし、忙しい毎日の中で便利なコンビニを上手に活用することも当然必要です。
ですが、何にも考えずに、
いや、何も知らずに、
毎日毎日コンビニごはんやスーパーのお惣菜ばかり食べ続ける・・・という生活は、いかがでしょうか?
一見体に良さそうな「おにぎり」ですら、こんな状態なのですから・・・
とくに胃腸の調子の悪い方は、少しでも意識して「避けられるものは避けよう」という心掛けも必要なのではないかと思います。
何事も大切なのはバランスです。
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「ひだ胃腸内視鏡クリニック」院長 樋田信幸の公式ブログ
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医、評議員
日本消化管学会胃腸科専門医